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13 こんにちは○○

 両親からの告白を聞いて、奈智(なち)は眼を見開いて固まった。いや、彼だけでなく、その双子の弟も、長兄も。 「…………それ、ほんと……?」  恐る恐る確認するも、無常にも父親は首を縦に振った。 「うっそぉ、じゃあさ、俺らに十八離れた弟か妹ができるってこと!? やったー」  現在、末っ子である沙和(さわ)は両手を上げて喜んだ。  うん、喜ばしい事ではある。しかし、だ。 「……お袋、今いくつだ?」  父親によって銜え煙草を奪われた長兄・多聴(たき)はさも面倒くさそうに頭を掻いた。  確か、奈智の覚え違いで無ければ、四十半ばであるはず。  「うん、そうか。父さん、母さん、おめでと……っわぁっ!」 「ありがとう! 奈智!」 「お前は、まともに喜んでくれると思った!」  両親からいきなり抱きしめられる。  それと共に、他の兄弟に対しての父母の認識を今の台詞で改めて確認する。  さすが両親。まあ、あながち間違ってはいないと思う。 「なにかあったら、言ってよ。手伝うからさ」 「たよりにしてるわ、奈智」 「お前だけが、頼みの綱だ」  や、それもどうだろう。 「まあ、ガンバリマス」  奈智はやれやれと肩を落とした。 無事に誕生し、すくすくと成長した早熟の末の弟に奈智が迫られるのは、また別の話。

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