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22 願望

 絡められる舌に奈智は夢中になった。 「……ん、むぅ……はっ」  素肌を弄る男の手が胸の突起を探り当て、悲鳴を上げる。  仰け反って逃げる様な、もっとと突き出すような仕種に男は舌なめずりをする。 「っゃあっ、ぉね……ぁあ!」  快感に肌をピンクに染める肢体に、男の所有である証の鬱血が散りばめられていく。  際どい内股に口付けられ、奈智は喘ぐ。  散々弄られ続けた後ろは注ぎ込まれたローションが卑猥に垂れて、周囲をテラテラと怪しげに光らす。そして、ひっそりと息づく、奥。 「ん、ん……っあぁ……ぁああっ」  ヒタリと当てられた男に目を見開く。  示されていく存在感に知らずに逃げる腰を引き寄せられ、さらに穿たれる奥。  腰のその部分から押しつぶされるような感覚に、奈智は泣きじゃくった。  しかし、それを上回る何とも言いようのない快美感。  自分の知らない、他人が中に居る。  もう終わりだろうと息を吐けば、それを狙ったようにして内側をかき分けられ、信じられないほど奥に感じる男。  しばらくして、ゆっくりと回される腰。  中を探るようなその動きに、奈智は高い声を上げた。  してやったりと口角を上げた男は、重点的にそこをいじめ抜く。 「っも、……むりぃ……ぁ、んっあ……っ、ぉね、アあっせんぱ……」  激しくなる律動に、奈智はなす術がなかった。  ただ、快感に、男に流されるのみ──。 「もー、なちってば、色っぽすぎー!」  朝っぱらから、奈智は撃沈した。  本日、日曜日。外はとても天気がよく、清々しい。  清々しくないのは、我が家の中。 「しかも、相手は堀ちゃん先輩って、どーゆーことー!?」  ──俺が、聞きたいよ、沙和……。  何故か朝食時、沙和が見たという夢を話出した。そして、それを真面目に聞いていた奈智は再起不能に陥った。  ──なんで、俺……。  何かで、夢は欲望の現れと聞いたことがあるが、何処をどう間違ってそんなことになったのか。  ナゼ沙和の夢で、登場人物は自分と彼の先輩なのか。  頭痛のネタは尽きることがない。奈智は溜め息をついた。 そんな平和な一日。

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