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R18★シンデレラボーイの落し物は

部屋の中ほどに押し込むなり、荷物を投げ捨て澄伽を後ろから抱き締める。 この子の場合はこっちのペースに完全に飲まれてもらうのが最適解だろう。 澄伽は俺より十センチほど背が低いようだ。身体も程よく華奢で抱き心地には期待ができた。 「……何?こわいの?」 ふるふると首を横に振りながらも、澄伽の身体は明らかに強ばっている。 「おれと……えっち、するの?」 「澄伽くんが可愛いから俺もう我慢できない。シたい」 身体をこちらに向かせる。 頬に手を添えてやると、覚悟を決めきれていないような戸惑いの表情がそこにあった。 「初めてじゃないんでしょ?」 「何が?」 「だから、男とエッチをするのは初めてじゃないんだよね?って」 「あ、はい。えっと、何回かな?いっぱいやったことあります」 純朴に見せかけたビッチか。今時流行らなそうなキャラ設定。 顔を寄せ、半開きの薄い唇をそっと塞いだ。 「ん!?」 驚いたような澄伽の声。 舌を差し入れると、 「ん、ぁ、ぁ……」 と小さく喘いでしがみついてきた。 しかしどうやら口の中や舌より、唇の方が性感帯らしい。唇を軽く舐めてやったら、 「ンンっ……!」 いちばんイイ反応を見せた。食(は)んで、舐めて、やわく重ね合わせて。 澄伽は生易しいキスだけの快感から逃れたいのか、こちらの肩を押し戻そうとしてくる。 キスだけでイかせる趣味はない。最終的には俺を満足させてもらわないと。 耳元で囁いてやる。 「シャワー浴びてきて?」 澄伽がハッと困ったような表情になる。彼はよくこの困り顔を見せる気がする。 「それって……お尻もキレイにしてくるやつ?」 「うん。そうしてくれると嬉しいな。ひとりでできるよね?」 当然そんな下準備にも慣れているのだろうから、もじもじしているところを腰を抱いてさっさと浴室に押し込んでおいた。 『いい子にして待ってて』 洗浄とシャワーを終え腰にタオル姿で出てきた澄伽に口づけておいた。 自分の方はさっと軽く洗い流すだけで済ませ、浴室から出る。 澄伽は文字通りいい子にベッドの上で膝を抱えて座っていた。 ベッドに乗り上げ、澄伽の肩に触れる。なめらかな若い肌は少しひんやりとしていた。 「身体、冷たくなってる。待ってる間寒かったでしょ?布団入ってて良かったのに」 「そう、なの……?」 そうしてまた不安げな顔をする。 「そのくらい好きにしていいよ」 「そっか。わかんなかった」 まるで子どものような言動に唖然としかけるが、とにかくセックスという目的を果たせればそれでいい。 「一緒にお布団入ろっか。温めてあげる」 布団にくるまって澄伽を抱き締める。痩せすぎず肌はすべらか。ちょうどいい身体。 腕や背中を撫でさすりながらキスしてやっているうちに、その身体に入っていた無駄な力は抜けていった。 「肌、綺麗だね」 「ほんと?肌きれいなの好き?」 「うん、好き」 戯れから徐々に愛撫へと移していく。生白い首すじへ唇を、次に舌を這わせた。 「わっ!あッ、あッ、そこ……!」 「跡、つけていい?」 「あ、跡はだめ!怒られちゃうかもだから!」 誰に怒られるというのか。周りにバレて恥ずかしいというのは大人の言い分としてわかるが、怒られてしまうおそれがあるとすれば考えられるのは。 「ふーん、本命の彼氏に怒られちゃうの?」 「か、彼氏!?ちがくてぇ」 「へぇー、彼氏いるのにバーでいろんな男誘って、俺ともエッチしちゃうの?」 ガキっぽい言動で純情ぶって、その実とんでもないビッチだ。 完全に後腐れのないタイプでラッキー。さて、どう愉しませてもらおうか。 「おれに彼氏なんているわけないじゃん……」 「そう?顔可愛いしフツーにいてもおかしくないと思ったけど」 やや不思議ちゃんだがそういうのが好きな男もいるだろう、たぶん。 「彼氏サンはココ、可愛がってくれてる?」 「ひゃッ!」 胸の尖りの周りをくるくると指でなぞる。 「うぅッ、ううぅ……」 もどかしい刺激に吐息混じりに呻き、まだタオルの引っかかったままの腰をわずかに揺らす。 指で弄ってやろうかとも思ったが、気まぐれでいきなり乳首に吸いついてやった。 「うあぁッ……!あ、あッ……や、やぁんん……ッ」 舐めしゃぶり尽くされる快感に、イヤイヤと首を振り感じ入っている。 「すごい感じてんじゃん。彼氏におっぱいめっちゃ開発されてんだ」 もう片方も指先でくにくにとつまみ上げながら、澄伽を言葉でもからかってみる。 「あんッ……感じるぅ、おっぱいすごい感じるぅ……」 「そう、気持ちイイんだ?」 「ン……きもちぃ……」 力なく半開きになった瞳は潤み、早くも快楽に飲まれ始めている。 感じやすい身体。AV女優でも言わないレベルに恥ずかしげもなく快感を訴えてくる、その面白おかしさ。 初めて出会ったタイプかも、と澄伽の腰のタオルを取り払いながら思う。 「あ、うぅ……はずかしいよ……」 まるで使ったことのなさそうな綺麗な色の性器が、半勃ちでぷるりと揺れていた。 それよりもその下に隠れている、俺のモノを挿入され待ちのもうひとつの性器の方に早く触りたいし突っ込みたい。 「脚広げて。お尻も感じる?」 「えっと、お尻感じるけど、痛いのはやだ」 「ん、わかった。じゃあ痛くないように慣らそうね」 男とセックスしそうな日は、ゼリータイプの潤滑剤を持ち歩いていた。男女カップルをメインターゲットにしたラブホテルにはほとんど置いていないからだ。 ぐいっとしなやかな脚を押し広げると、その付け根に卑猥な孔がくぱっと口を開けていた。 「ココ、縦割れしてる。可愛い顔してめっちゃヤりまくってんじゃん。彼氏以外はほぼワンナイトっしょ?だとしたら経験人数どんくらいなの?」 「あ、う……?」 「今まで何人とエッチした?って訊いてんの」 「そんなのわかんないよ。いっぱいだもん」 平然と答えてのける。 これは本物だ。さっさと挿入に持ち込みたい気持ちが強まった。 「俺の上、乗って?そう、お尻を俺の頭の方」 仰向けになった俺の上に、いわゆるシックスナインの体勢で澄伽を乗せた。 顔の前の縦割れアナルを、潤滑剤を絡めた指でぬちょぬちょと掘り進めていく。 「あッ、あンっ!」 澄伽が甲高く声を上げ、その背中がしなる。 「ヨガってばっかいないで、ちゃんと俺のチンコ舐めて?」 指は入っていかないこともない。しかし、ぐるりとナカを押し広げようにもそこまでガバガバというほどでもない。適度な締めつけはある。毎晩男に抱かれているわけでもないのかもしれない。 慣らしが足りずに痛いと喚かれてもこちらが萎えてしまうので、少し念入りに解してやることにした。 潤滑剤を追加し、ぬちゅぬちゅと音を立てながら熱を孕んだ壁を潤してやる。それでまた感じてしまっているのか、可愛いチンコからもぬるぬるとカウパーが垂れてくる。 「痛くない?」 「あ、ふぁ……ったくない……きもちぃ……」 「だろうな。ココもこんなにして」 戯れに亀頭をぐにゅりと親指の先で弄ってやると、 「やあらぁッ!らめぇ、でひゃうでひゃうぅ!」 と切羽詰まったように啼いた。 「ダメ、まだイったら」 パンパンになっている根元を指で作った輪で抑えつける。 空いている利き手でナカを掻きまわし、時折前立腺にも触れてやる。 「ぅあッ!あッ!やらそれ!もぉ……もぉ……」 もう挿れて、と言いたいのだろうか。 俺のはまともに舐めてもらえていないけれど、意外とすっかり臨戦態勢で、あとはそのコトバを言わせることができたらまぁいいかなという心持ちになっていた。 「もう?もう何なの?」 「うぅッ……!も、もぉ……だめになっちゃうよ……もぉ、いれてほしい……」 「いつもそうやっておねだりしてんの?ほんとドスケベの淫乱ちゃんだね。……いいよ、挿れよっか」 澄伽の身体をベッドに伏せさせる。 「ほら、ちゃんとお尻上げてて」 これも自前で持ってきていたゼリー付きのゴムを手早く着けながら、澄伽が俺に言われるがままにのろのろと腰を高く突き出すのを横目で見やる。 エロくて従順、何となくだがこちらに執着してきて面倒くさいことになりそうな雰囲気もない。 今から試してみる本番の相性次第では、セフレの二軍くらいにキープしてもいいかななどとも思った。 小ぶりな尻の割れ目を片手で広げると、ただの性器に成り下がった孔がひくりと物欲しそうにじゅるりと潤んでいた。 追加で潤滑剤を塗り込んだ先端をめり込ませると、 「んんぅッ……!」 澄伽の身体に力が入る。 相手もどうせ手慣れのネコだ。特に言葉はかけず、腰を引っ掴んで奥へと挿入を深めていく。 「んっ、ぐ、うッ……あ、あ、んんん……」 枕に顔を埋(うず)め、快感に堪えているように見える。その声色には、苦しげな中にも確かな甘ったるさが感じられた。 「あっ、なんでっ、まだ……うぅ~……」 澄伽の言いたいことはわかる。 『まだなの?まだ奥まで来るの?』 そんなところだろう。 俺のは太さもそれなりで人並み以上に長さもある。これで大抵のネコは落ちてしまうし、俺自身も短小野郎にはできないプレイが愉しめる。 大方挿入したところで澄伽の背中に覆い被さる。 「わかる?すごい奥まで入ってんの」 「ふっ、う……う、すご……おく、くるし……」 澄伽の臍の下あたりに触れると、可哀想なくらいに俺のモノの形に膨れていた。 「ここより奥さぁ、挿れられたことある?俺くらい長さないと届かないとこ」 「うっ……うぇ?そんなのないよ、やだ、こわいよ……」 「いいよ、力抜いててごらん」 さらに腰を押しつけると、亀頭の先が澄伽の奥の奥、くぱくぱとわずかに口を開いた場所にぶつかる。 「あッ!あ……なに、そこ……こわいよぉ……!」 「結腸責めって言うの。大丈夫、こわくないよ」 「や、や……!」 嫌がるネコを征服するのも性癖だし、俺は何よりこの先の極上の快楽を経験上知っている。 性欲に支配された脳で、未開発の最奥を一思いに貫いた。 「ひィィィッ!?ぅ、ぐぁぁッ……ぐ……ぎ……!」 「あー、やべぇ……すっげー気持ちイイ……」 澄伽の潰れたような呻きを無視して、ぐいぐいと腰を押しつける。 彼にとっては初めて触れられたであろうその奥めいた臓器さえ、俺にとっては都合のいいオナホールのような物でしかない。夢中になって幾度もカリの部分をぷちゅんぶちゅんとめり込ませる。 最奥に出し入れする度に、まるで包まれながら飲み込まれてしまいそうな、他では味わえない目の眩む快楽に襲われる。 「あーーー……ゃめ……んぐ……あーーー……」 澄伽はといえば、ぴくぴくと痙攣している様は弱々しく。 頭を引っ掴んでその顔を覗き込むと、うつろな目でどこかを見つめ、ヨダレを無様に垂れ流していた。イイ表情だ。 「ほら、ちゃんとケツも締めてよ」 パシッと柔らかな尻を叩く。 「きゃうッ!」 みっともなく悲鳴をあげ、すすり泣きながらも懸命に下半身に力を入れようとしている。 健気すぎてさすがに可哀想なので、前立腺も掠めてやりながらふにふにとチンコにも触れてやる。 「ぅあ、あーー、だめ……へんになゆ、イきゅ……イひゅ……」 「もうイっちゃうの?早くね?いいよ、でもあとで、」 『二回戦しようね』 と俺が言いかけた時だった。 「うああッ……!あッ、イくッ……!う、うぅ……んあッ……あッ……ああああンッ!」 何が決定打になったかはよくわからなかったが、澄伽は一際大きく嬌声をあげ絶頂に達してしまった。 シーツにとろりと精液が零れている。 「ぅあ……ごめんなさ……」 さすがに起き上がる余力はないのか、横向きにころんと転がったまま、快楽の余韻に震えている。 涙とヨダレでぐちゃぐちゃの顔。 それがあまりに幼く見えて、ようやく俺の中に少しの罪悪感が生まれた。 「ごめん。いきなり結腸責めしんどかったね?」 「け……ちょう?ちょっとこわかったけど……きもちかった、かも……」 そう言って、今度はわずかにはにかんだ笑顔を見せる。 その素直さ健気さと、あと単純に顔もエロい身体も結構好みだな、と思えてきた。それの内訳は、慈しんでやりたいという思いと、ただの性欲のその両方だ。 これは少し休憩がてらヨシヨシ腕枕でもしてからの、俺もイきたいからもう一回コースだ。 「澄伽くん、喉乾いたっしょ?」 備えつけの冷蔵庫に飲み物を取りに行こうとした、その時だ。 「あっ!ねぇ、今って何時!?」 「いや、三時間コースで入ってるからまだ全然余裕だと思うけど」 と言いながらも、テーブルの上のスマホで一応確認してやる。 「十時五十分」 「うわっ!ヤバいー!間に合わない間に合わない!」 「えっ、何?帰る……の?」 ぐったりしていた澄伽が突然飛び起きて、身支度をし始めた。慌てすぎてパンツと前と後ろを一度間違えている。 「おれ、十一時五分のやつに乗らないとダメなの」 「終電?」 「うん、そう」 「いいよ、俺タクシー代くらい出してあげるから、もうちょっとだけ一緒にいようよ」 彼がどこに住んでいるかは知らない。 新幹線の距離とかでない限りはそのくらい出してやるから、俺を不発のままでとっとと帰らないでいただきたい。 「ちがうの。お母さんが『お友だちと遊んでても終電では帰ってきなさい』って」 「あ……そうなんだ……へぇー、お母さん厳しいんだねぇ」 二十一歳の成人している男なのに? この年代だったら、実家住まいの箱入り娘ならともかく、野郎なんて仲間うちで朝まで飲み明かすこともあるだろうし、帰り時間など親の口出しすることではないだろう。 「ほら、ここにね、終電の時間メモしてあるの」 リュックにぶら下がった交通系マネーのパスケース、それと一緒にやたらと綺麗な字で書かれたメモが入っていた。何となくだが、本人より年上の、例えば母親か誰かの筆跡な気がする。 「あー!もう行かなきゃ!忘れ物!忘れ物ないかな?おれすぐ忘れ物しちゃうから」 財布はあるしスマホはあるし、とリュックのサイドポケットをガサガサと雑にあさって確認している。 「じゃあおれ帰ります!ホテル代って割り勘でいいんでしたっけ?」 「いや……もういいよ。俺が払うから」 「ありがとうございます!よし!じゃあさようなら!」 そうして澄伽は嵐のように去っていった。 ホテル代をおごるくらい何でもない。しかしあれだけの面白キャラでしかも見た目もなかなかの子を連れ込めて、イかせてもらえず帰られるのはかなり、相当にしんどい。 澄伽の痴態を思い返してヌくか、それともテレビをつければ勝手に流れてくるであろうAVに頼るか。 そのどちらの気にもなれず、ベッドの縁に腰かけ項垂(うなだ)れる。 連絡先の交換はしなかった。またあのバーに行けばまたそのうち会えるだろうか。 「つーか何だよ!お母さんがぁー終電がぁーって!イミフのクソビッチが!」 バンッとベッドを殴って寝そべりかけた時、絨毯敷きの床に何か赤く薄っぺらい物が落ちているのを見つけた。 あれだけ忘れ物が多いからと騒いでチェックしまくっていたくせにやらかしたのか? 放置して帰るのも気の毒なので、まずはそれが何か確認することにした。 その赤色に近づき拾い上げ、心臓が止まりかけるほどにハッとさせられた。 「うわ、嘘だろ……マジか……」 激しく動揺するのを抑えられない。 カードくらいの大きさに同じ赤色のストラップ、赤地に白の十字とハートマーク。 通勤の電車や街中でも時折見かけたことがある。 ああ、これはヘルプマークというやつだ。 外見からはわからない病気や障害を抱えた人たちが、援助を得やすくするための目印。 つまり澄伽が? まさか、そんな。たしかに少し変わった子だとは思ったけれど。 もし澄伽に重病などがあったとしたら、俺はついさっきまで何て惨(むご)いことをしてしまっていたんだろう。 身体に負担はなかっただろうか。 いや、かけまくりだったことは否定しようがない。何か命に関わることになっていたら……。 エセピュアだのクソビッチだの散々馬鹿にしてきた澄伽のことを、突然知りたくなった。 あの無邪気な笑顔、艶かしい身体が何を抱えているのか、それが己の好奇心からなのか罪悪感からなのかはもはやわからなかったけれど、とにかく知りたかった。 怖々とその赤いマークを裏面にひっくり返す。 先ほどの終電のメモと同じ、大人びた手書きの文字があった。きっとこれもあれも母親が。 名前:橋本 澄伽(はしもと すみか) 軽い知的障害があります。 困っていたら、わかりやすい言葉で声かけしていただけると助かります。 連絡先:090-XXXX-XXXX(母) 知的障害。 俺はここまでの人生で、それを抱えた人と関わったことがなかった。 ああ、もうわからないことだらけだ。 障害は軽いとは書いてあるけれど、どの程度なんだろう。 危険な目に遭う可能性も考えられずに、知らない男について行くのだろうか。その相手がたまたま今日は俺だったのだろうか。 母親はこのことを知っている? そんなはずはない。 自分の子どもが不特定多数の同性と関係を持っているなんて、普通の親なら許さない。 それもとりわけ危なっかしい澄伽を。 これはきっと澄伽にとって大事な物だ。返した方がいい。 けれどわかるのは母親の電話番号だけだ。 道端に落ちていたのを拾ったんですよ。そんな風に無難に母親に連絡するのは嫌だった。 俺は澄伽にもう一度会いたい。 会って今日の無茶な仕打ちを謝るのか。もう男遊びはやめた方がいいと諭すのか。 伝えたい想いはどれなのかわからないのに、ただひたすら澄伽の無垢な笑顔を見たいと思った。

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