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中学編~第四話

男の自分的には、冒頭数十分でラストシーンが想像出来てしまうベタな恋愛映画などのどこが面白いのかと思うのだが、隣で号泣しているしおりを見ると、なにも言えなくなる。 「目腫れてない…大丈夫?」 映画が終わって、外に出るとしおりが心配そうに見上げてくる。 「ちょっと目赤いけど、大丈夫。てか、すごい泣いてたね。泣き顔も可愛かったけど、喜んでもらえてよかったよ」 「うん!内容もそうだし、ラストにいくまでのストーリーが、見てて泣けてきちゃった。葵はこういうの嫌い?」 「面白かったけど、やっぱ俺男だしね。最近の女の子はこういうのが好きなの?」 そうしおりに聞いてみると、そうだと言うので記憶にとどめておく。夕方になってしおりを家まで送って、家に帰る。しおりと付き合い出して一週間。日に日にしおりが、自分に対して恋愛感情を強めているのが分かる。そういう風に接しているのだから、当然といえば当然のことなのだけれど。 自分の気持ちはどうだろう、と考える。本気にはなれないけれど、しおりに恋心を抱くことは出来るかもしれない。葵が考える〝本気〟とは、〝死ぬまで一緒にいたい相手〟の事だ。まだ一週間だし、これから知っていくことも多いだろう。期限は決めたが、それこそ本気の相手に出会えれば、こんなことをする必要もないのだ。 だからなにも気に病むことではない。お互い楽しめればそれでいいのだ。そう割り切り、着替えて今日も店へ行く。

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