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〜余話~

巽は葵が高校生だと思っているから、こんな話を振ってきてくれたのだろう。お互いを特別に思っているからこそ、心苦しい。 巽とは来月に迫ったクリスマスに約束をしていた。今付き合っている彼女とは24日のイヴに会う約束をしている。その時に、巽には本当のことを打ち明けようと決める。 ◆◇◆ 合唱コンクールが終わって数日後。 家に葵宛で一通の手紙が届いた。差出人は両親からだった。 『――葵 元気にしているかな? 俺も母さんも元気だから安心してね。 そうそうこの前行った国の景色が あまりにも綺麗だったから葵にもおすそ分け。』 そんな文面とともに入っていたのは数枚の写真。思わず雅やんと二人でその写真の美しさに目を見張る。それはまさに絶景だった。魅入られる。目が離せない。 「……俺も…撮ってみたい……」 「……!」 自然とそんな言葉が口をついて出た。 「……じゃあ、撮ってみるか?」 しばらくの沈黙のあと、唐突に雅やんがそう問うてきた。質問の意味が分からず、思わず聞き返す。 「は……?」 「や、学生の頃にアイツがオレん家に置いてったやつが一台あんだよ。さっき思い出した。まだ返せてねーから、どっかにあるはずだ。探してきてやっから、ちょっと待ってろ」 そう言って雅やんは部屋の奥を何やら、がさごそと探し始める。数分して戻ってきた雅やんの手には一眼レフ。 「オレがこのまま持っててもしょうがねーし、はーちゃん帰ってきた時にお前がアイツに返しといてくれ。本当に使うなら、返信ねーかもしんねえけどアイツに連絡しとけよ」 「……ありがとう!」 そのあとダメもとで父親に連絡をいれると、都合よく電波の入るところにいたのかすぐに了承のメールが届いた。 翌日葵は学校の帰りに真っ先に本屋へ寄って、カメラの指南書を買うと気がつけば、暇さえあればその本を読むようになっていた。

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