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中学編~第九話
数日後
校外学習の行き先が一年生全員にHRで伝えられた。沖縄か長崎でのスキー学習どちらにするかが職員会議で話し合われ、後者に決まったそうだ。出来ることなら行きたくない。スキーの経験がないわけではないが、スノーボードならまだしもスキーはそんなに好きじゃないのだ。そもそも身体を動かすのが好きじゃない。
「雅やん、俺今度の校外学習行かねーから」
「は…なんで?クラスのやつらと親睦深めるには持ってこいじゃねーか。大人と危ない火遊びするより、同年代と遊んだほうがよっぽど楽しいと思うぞ?」
「……好きに滑れるわけじゃないし、やるならスノボのがいい」
「ほんと……お前…ひん曲がってるよな、その性格」
「そりゃどうも」
「褒めてねえよ」
それから店も珍しく暇だったのでどうでもいい雑談をしていると、お客がやってきた。雅やんに釣られるようにして顔を向けるとそこには巽がいた。
「巽さん!」
「やあ。お店で会うのは久しぶりだね」
巽とは外で会うことのほうが最近は多いから、店に来るというのは珍しかった。
「話の邪魔をしてしまったかな?」
葵と雅やんに遠慮したのか巽は少し離れたカウンター席に座る。
「そんなことないって。隣座ってもいい?」
返事も聞かずに彼の隣に座る。
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