29 / 58

中学編~第九話

「あおいー、今の彼女とはあとどんだけだっけ?」 「12月いっぱいまでかなー」 「あともうちょっとだな。なあ、葵って付き合った子とヤってんの?」 「…へ!?」 唐突な質問に変な声が出る。そういえば、夜の行為だけで事足りていたから考えたこともなかった。 「あー…そっか。ヤろうと思えばヤれるんだよね……。でも俺、女抱けるのかな……女相手に勃つのか…俺?」 「……あ、あおい?それどういう意味……」 「そもそも俺、今までネコしかやったことないのに……」 「あおいさん…?」 ◆◇◆ 次の日は一日スキー学習だったが、理由をつけて参加せずにすんだ。その代わり雪景色の写真を撮りまくる。教師達に散々言われたが、ここにはスキーをしに来たわけではないのだ。その日の終わりにまた彼の部屋へ招かれたので、行ったら色々言われたが『腰が痛かっただけだ』とごまかす。 そして迎えた最終日。 仕方なく午前中のスキーに出て、午後は寄木細工の体験だった。周りの子達は小箱やコースター。それにペン立てのようなものを作っていた。そんなもの持って帰っても9割方使わないだろうと思ってしまう。どうせ作るなら使えるものがいい。 パーツを組み合わせてヤスリをかける。出来上がったのはいくつかのアクセサリー。こういう時手先が器用で良かったと思うのだ。 「藤堂……おまえ、これどうやって作ったんだよ?俺にも教えてくれよー」 「どうやってって言われても……感性で作ったから、教えるもなにも…」 「……お前ってほんと器用だよなー……オレにも分けてくれよー、その器用さ」

ともだちにシェアしよう!