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中学編~第九話

こうして、ようやく長かった校外学習が終わった。スキー学習は二度とごめんだが、同年代とくだらないことを喋るのも思っていたほど悪くない。夜中騒いで教師叱られるなんてのも、学生ならではだろう。違う意味で騒いだことなら数え切れないけれど。 学校に戻ればきっと感想文やらなんやら書かせられるのだろう。面倒なことこの上ない。 そして来週からはテストがあって念願の冬休み。今の彼女とはイブに会うのが最後になるだろう。思い出作りに一発ヤらせてもらおう。女の子を抱ける機会があるんなら、活用しないに越したことはないのだ。今までされる側だったから、する側というのは非常に興味がある。こんなこと誰にも言えないよな、と一人苦笑する。 テストも終わって、ようやく冬休み。日本の冬休みは短いけれど、ないよりはマシだ。 彼女との最後の夜は、ノブママの経営しているあの店に行き、その後は彼女がどうしても家に来て欲しい、というのでお邪魔して目論見通り彼女を抱いた。 両親は共働きでいないそうで、思う存分楽しませてもらった。同性しか受け付けないのではないかと不安もあったが、どうやら女性にも欲情するようだ。 「こういうの……バイって言うんだっけ?」 隣で眠っている彼女を横目に、そんなことを考える。時計を見ると、夜中の2時だった。彼女の両親が帰ってきている気配はない。そっとベッドを抜け出して、家へ帰る。彼女との期日は、厳密に言えば昨日までだ。念のため、メールを入れておく。 家に着くと、シャワーを浴びて横になった。巽との約束は午後からだった。 翌日少し早めに家を出て、巽へのクリスマスプレゼントを買う。学生の自分に大したものは買えないけれど、普段彼にはお世話になっているし、決して口には出せない思いも伝わればいいと思ったのだ。 そして今日は巽に、本当のことを打ち明けようとも思っていた。恐らく巽には、葵が年齢を誤魔化していたことなどお見通しのなのだろうが。

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