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中学編~第九話
そのあと、告白してきた子には泣かれるし、瞬く間に噂が広まって大変だが、時期収まるだろう。干されるかと思ったが、『藤堂だから仕方ないか』という所で落ち着いたらしい。
そして迎えた2月のバレンタイン。
告白の一件があったから『何もないだろう』と思っていたが、とんだ誤算だった。平日だったこともあり、それはもう大変な目にあう。周りの男子には羨ましがられるし、教師にはあまりの量の多さに苦笑されてしまったほどだ。正直、煩わしいったらない。
「……葵…、その量やばくね?」
「うちの学年だけじゃねえだろ、その量」
「たぶんね。名前見ても、分かんねーの結構あるし。つーか、やるよ。俺、こんな食えねーから」
くれた子たちには申し訳ないが、甘いものはあまり好きではないし、誰が寄越したかもわからないものに正直手を付けたくない。半分以上を友達に押し付け、今まで付き合った子たちからもらったものを抜いて、残りは全部人目に付かぬところでゴミ箱に捨てた。
家に帰ると案の定、雅やんに『もったいないことしてんじゃねえよ!』と散々小言を言われたが、なんとか誤魔化す。自分がもらえなかったから、もしかしたら妬みもあるのかもしれない。体育祭の時に連れていた修斗とは最近別れたらしい。それこそ、もったいないと思ったが口には出さないでおく。
そのあと、気晴らしにと巽に連絡を取ったのだが、生憎忙しいと断られてしまい仕方なく、校外学習で出会った彼に連絡を取る。
彼は、廣瀬尚樹 といって、都内の居酒屋でアルバイトをしている23歳だという。あれ以来、度々身体を重ねている。
「バレンタインにお声がけしてもらえるなんて、嬉しいなあ」
「……一応言っておくけど、付き合うとかそういう気はないからね」
「知ってるよ。俺だって中学生相手に、本気になるわけないでしょ」
廣瀬のバイトが終わるのを待って、2人で彼の家に行く。
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