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中学編~第九話
「なんで今日は、ホテルじゃないわけ?」
いつもは『部屋が汚いから』と言って、大概ホテルでヤることが多いのだが、今日は何故か家へ招かれたのだ。
「ちょっとした気まぐれだよ」
そう言って、持っていたビニール袋をちらつかせる廣瀬。透けて見える中身は、大量の板チョコ。
「……あんた、何考えてんだよ」
嫌な予感しかしない。選ぶ相手を間違ったか。
危機感を覚えて、来た道を引き返そうとするも、時すでに遅し。腕を掴まれ、そのまま家へ連れ込まれてしまう。腕を捻り上げられ、唇を塞がれる。そして、ベッドに突き飛ばされた。
「……っ痛。なにすんだよ、あんた」
抵抗虚しくどこから持ってきたのやら、気付けば全裸でベッドに手錠で拘束されていた。
「……っ…なんのマネだ」
「Please eat me.なんてな。大人を舐めちゃいけないって、教わらなかった?」
廣瀬はおかしそうに笑う。睨みつける以外出来ず、葵は奥歯を噛みしめる。
いつか変なやつに捕まる覚悟はしてた。だが、まさかこいつだとは。
(随分な趣味じゃねえか…)
「…どうする気だ?SMごっこでもするつもりか」
わざと挑発的に、言葉を放つ。
「そんなに警戒しないでよ。別に、監禁したりとかはするつもりないからさ。ただ、ちょっとアソビに付き合ってよ」
そう言って、身体にぶちまけられた茶色のどろりとしたもの。あたりに甘ったるい匂いが充満する。
「…Please eat me……ねえ」
ようやく意味を理解した。人肌に溶けたチョコレートを全身にかけられ、身体を隅々まで舐められて、幾度となく犯される。
ようやく解放された頃には、日付は翌日で朝日が昇っていた。何度犯されたかわからないほどだったが、とにかく朝起きると廣瀬の姿は見えず、腰に激痛が走ったが構わず逃げるように家へ帰った。
雅やんに散々叱られたが、今回ばかりは、おとなしく受け入れる。
「……無事だからよかったもの…。お前、あんまり調子乗るんじゃねえぞ。この世界を…というか、世間を甘く見るんじゃねえぞ」
「……」
罰として、今後一切店へ出禁を言い渡されたが、なんとか説得して3ヶ月にとどめてもらう。
バイとはいえ、俺はこちら側の人間だ。その罰は酷だと訴えたのだ。
とはいえ、あんな目にあったのだ。しばらくは店に行きたくはなかった。
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