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中学編~第十話
日本の古き良き時代。一度行ってみたかった場所だ。
「京都といえば新選組でしょ、やっぱ」
各班に別れて、好きな場所を周る。日本の歴史は風情があって好きだ。特に、新選組やあの坂本龍馬がいた幕末の時代は、特に。
「…帰って来たら、また発表とかさせられるんだろーか」
「たぶんね」
「うえー…。だったら、テーマとか決めて行く?」
「じゃあ、新選組に跡地巡りとかどーよ?幾つか抜粋して周れば、十分ネタになるし。写真は任せろ」
とまあそんな感じで、葵たちの班は新選組の跡地を巡ることとなった。
そして当日。迷子になることもなく、順調に一日が終わった。写真もたくさん撮れたし、名物料理も堪能した。
「つっかれたー…」
解散し、部屋に入るなり畳に突っ伏す。
「……このあと俺たち風呂だなー。大浴場らしーぜ。おっ!露天風呂もあるらしーぞ、すげえな」
「あ…おいっ!葵、寝るんじゃねえよー」
はしゃぐ同室の男ども。うるさい。
「…風呂……?だい…浴場…?」
みるみる顔が青ざめていく葵を、不思議そうに見つめる。
「どーしたんだよー、葵?」
「ああぁーーーーー!」
忘れていた。すっかりと。左肩に入れたアレを。旅行のしおりを、ひったくるように奪い取る。
「……どうしよう…」
「何が?」
困惑顔の仲間を無視して、しおりを食い入るように見る。入浴の時間はクラスごとに決められており、そこからまた班ごとに細かく決められていた。最後のクラスの入浴が終わるのが、21時。旅館の入浴時間が、24時。よし、これだ。
「ちょっと、先生んとこ行って来る」
「…は?」
それから男の先生をひっ捕まえ、『休みの間にちょっと怪我して、傷を見られたくない』と言ってみんなが終わった後に、こっそり入らせてもらえることになった。嘘は言っていない。
「これで安心だ…」
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