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中学編~第十話
「…中学生のくせに、あんな不純な交際を…。私の生徒であるからには、あんなものを許すわけにはいきませんね」
吐き捨てるように、橋本は言う。せり上がって来る怒りを、どうにか押しとどめて冷静さを保つ。
「……俺の交友関係なんか、先生には関係ないでしょう」
『不純』とは、先ほどの巽とのことだろう。抱き合っていたのも、キスをしてたのも見られていたらしい。
「教師として、生徒を正しい道へ指導する責務がありますからね」
至極当然、というふうな口ぶりに思わず言い返してしまう。
「You're lamer than lame. No worth for me to talk.I dont wanna ruin my day with such shit.
f**k you asshole.」
(あんた、人として最低だな。話すだけ無価値だわ。俺はこんなつまんないことで、時間の浪費したくねえんだよ、くたばれクソ馬鹿やろう)
言い過ぎている自覚はあったが、それと同等には傷付けられたとも思う。殴りかからなかっただけでも、えらいと思う。
橋本は言葉が出て来ないようで、こちらを睨みつけてる。
「…それでは、俺は風呂行って来ますね。おやすみなさい、先生。いい夢を」
そう言って、その場を立ち去る。
「……俺、キレると英語になるのか…」
新たな発見だ。
着替えを準備して、一人大浴場へ向かう。教師が配慮してくれたのか、他の教師はおらず、それどころか時間が時間なのか、他の客の姿も見えず、気兼ねなくゆっくり湯船に浸かる。
半分勢いでいれたとはいえ、こんな刺青じゃプールには行けないな、と一人苦笑する。かと言って、後悔はしていない。
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