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中学編~第十話
「ピアスは、もうちょっと増やしたいなあ」
そんなことを考えながら、一人風呂を充分に堪能したところで部屋に戻ると、同室の友達たちはどうやら他の部屋へ遊びに行っているのか、姿が見えない。探しに行くのも面倒なので、一人で部屋やベランダから見える景色を写真に収めていると、しばらくしてみんなが戻ってくる。
夜中まで馬鹿騒ぎをして、迎えた翌朝。巽にもう一度くらい会えないかと思ったが、そう上手くはいかない。橋本はといえば、昨日より酷い形相でこちらを睨みつけている。
今日は全クラス合同での、奈良観光だ。団体からはぐれないようにしながら、シャッターを切り続けた。同行しているカメラマンより、上手く撮れている自信がある。
そしてあっという間に時間は過ぎ、学校へ戻ってきてしまう。もう少しゆっくり観光したかったものだ。
振替休日を経て学校へ行けば、案の定班ごとにレポートの類ではなく、新聞を作らされる。細々と書くのもキリがないし、手間なので写真を利用して新聞を仕上げていく。
無事発表も終わり、せがまれた写真をいくつか現像してやったり、それなりに毎日を過ごしていた。
去年同様、体育祭や合唱コンクールも終わり、もうそろそろ進路を決める時期が来てしまう。
「…葵、お前高校どこ行くか決めてんの?」
「いくつか候補はあるけど…、剣道続けるか分かんねーし、遊びてーからそんな頭いいとこじゃなくていーや」
「…剣道続けりゃいいのに……、もったいねえ」
橋本や部活の顧問は、剣道で推薦もらって行けとうるさいが、出来れば普通に一般で受けたい。友達にも言っているが、そもそも高校でも剣道を続けるかどうかは、まだ決めていない。
とりあえず、推薦で行くにせよ、一般で行くにせよ、点数稼ぎがてら、中学の間は剣道部を続けるつもりではあるが。とはいえ、今は剣道部の副部長を任されているから推薦なんかもらわなくても、そこそこのところに入れるんじゃないかと思う。俺頭いいし。
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