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第8話

待ち合わせ場所ではすでに見たことある車が止まっていた。 「やっほ」 「遅えよ、走ってこい」 「やだよ、そんなの」 「···早く乗れ、行くぞ」 優しいのか、冷たいのか、わからない。けれどこの感じが居心地よくて。 助手席に座りふんふん鼻歌を歌う。 「何かいいことでもあったのか」 「えー?なんで?」 「楽しそうだから」 「まあ、あったかな」 あんたに会えたのが今はすごく嬉しいから。燈人の家について遠慮なく部屋に上がる、玄関のドアが閉まった途端激しいキスが降ってきて思わずたじろぐ。 「ふ、ぁ···んっ···、何っ!?」 「いや?」 「そんなに我慢できないわけ?」 「···それはお前だろ」 うん、そうだ。きっとそれは俺だ。 だって今のキスで何故だか力が上手く入らなくなって燈人に寄りかかってしまってる。 「風呂は?」 「入る···」 「ん、ちゃんと立て」 「ちょっと待ってよ、誰のせいで力抜けたと思ってんの」 「さあな、自分のせいだろ。」 俺から手を離した燈人は背中を向けてどんどん中に入ってく、一人地べたにしゃがみこんでムカつくけど一人でここにいるのは寂しい。ふぅ、と深呼吸をして少し休めば普通に立てるようになって、持ってた荷物をリビングに乱暴に置きに行った。 「うるせえよ、荷物が可哀想だろ」 「可哀想!荷物が!?」 「ああ、お前が雑に放られるよりな」 「ひっど!いいし!風呂借りる!!」 「早くしろ」 フンッと鼻を鳴らして、燈人を軽く睨みつけてから風呂場に向かった。 風呂から上がるとまだ明るいのに酒を飲んでる燈人がいて小さく溜息を吐いた。 「こんな時間から飲むの?」 「用がないからな」 「···あっそぉ。···ねえ聞いていい?」 「何だ。」 「燈人って何歳?仕事何してんの?」 聞くとちょっとだけ冷たい目で俺を見て「26、仕事は秘密。」と言われて、はーん、やっぱり年上だったか。と頷く。 仕事は俺も秘密にしたし、それも仕方ないなとクスリ笑った。 「お前飯作れる?」 「まあ、うん。」 「作って。」 「···あのさぁ?俺セックスしに来たんだけどぉ」 飯を作りに来たんじゃないんだぞと燈人の膝に向かい合うように股がって座り、手に持っていた酒を取り上げた。 「返せ」 「返すし、今日は特別に飯作ってあげるけど、早くしてよ。」 「そんなに溜まってんのかよ、昨日もシただろ」 「うーん···あんたとのセックス気持ちいいんだよね、すごく。」 ニコニコ笑って酒を机に起き燈人の首に腕を回す。キスをすれば後頭部に手を当てられ離れることができないようにと固定された。呼吸が上手くできなくてだんだんと苦しくなる。 唇が離れた時には俺の目には涙が浮かんでいて···ヤル気になってくれたみたいの燈人は溢れてきたその涙を舌先でペロリと舐めとった。

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