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第9話

「有り、得ない···、飯作れとか言っといて、こんなにするなんてさ···」 「強請ったのはお前だろ」 「そうかもしれないけど、こんなのじゃ作れないよ!腰立たない!!」 グッタリ。という言葉が一番合うと思う今の状況。ベタベタした体、もう動きたくない。 「風呂入れ」 「連れてけ」 「チッ···」 「あ、ちょっと、待ってっ···嘘、嘘だから、ぅぁ···まだ触らないでっ!」 俺を抱き上げてくれようとしたんだけど、その手が腰に、ケツにサラッと触れただけでゾクゾクと背中に悪寒に似たものが走って鳥肌が立った。 なんだよとイラッとしてる燈人に怒んないでよって言う、怒られるの好きじゃないから。 「ねえ、燈人のこと教えて。俺興味持っちゃった」 「嫌だ」 「何で?」 「···俺はお前を知らない。俺だけ話してお前は黙ってるとか、嫌だし。───それに」 成る程、と頷くと突然首を絞められる、けれどこういう経験はもう何度もしてきたから苦しいとは思うけど「怖い」とは思わなかった。 「お前に話す義理もねえし、俺のことを詮索するな」 「···くる、しから···はなして···」 パッと離された手。空気が急に入ってきたから噎せてしまう。ゲホゲホってしてるとこうしたのは燈人なのに俺の背中を優しく撫でる。 「じゃあ、詮索しようって、思わさないような行動とりなよ」 「あ?」 「あんたは優しいからね、もっとあんたのことを知って特別になりたいなってやつ、出てくるよきっと。」 「···それは面倒くせえな」 そうだろ、けどそんな奴が今あんたの目の前にいるんだよ。───桜樹燈人···あんたのこと徹底的に調べてやる。だから俺もあんたに俺の情報をあげよう。 「俺はね、ちょっとだけ危ない仕事やってるんだぁ。」 「···へぇ」 「あんまり興味ない?」 「まあ、死なねえくらいに頑張れや」 「大丈夫大丈夫。一緒にいる他の奴ら···一人はバカしてるけど後はすごい仕事できる奴らだからね」 誰の名前も出さないように、自分の仕事を遠回しに伝える。 「俺はここまで話したよ、あんたは?」 「···俺は、」 俺は、それだけ言って燈人は言葉を飲み込んだ。言えないのか、言いたくないのか、俺の目を見て初めて不安そうな表情をした。 「今は、言えない」 「ふぅん···じゃあその言える時まで待ってるよ」 「···それまで、お前と関係が続いてるとは思わねえんだけど」 「なんで?」 「だってお前···」 また、話さない、口を結んでフンと顔を背けた。 「いいよ、無理矢理言わせようなんて思ってないし。···じゃあ風呂借りるね」 「支えいるか?」 「いらないよ〜、もう大丈夫」 俺は自分を少しでも教えたんだ。 俺は燈人を知る権利がある。 「調べてやろ」 部屋を出て小さく呟きクスクスと笑う俺に燈人は全く気付いてなかった。

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