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第12話

「おいもうやめろ」 「うるさいな」 「うるさいじゃねえんだよ、そいつ血だらけだろうが」 「知らないよ、最初のやめろを聞かなかったこいつが悪いんでしょ。」 血がダラダラと流れてる男の胸倉を掴みながら振り上げた腕を早河に止められる。それを振り払おうとすれば中尾とにガシリと羽交い締めされた。 「終わりだって赤石、帰るぞ」 「離せよ!!」 「お前何でそんなにキレてんだよ、落ち着けって」 「··············」 「な?ほら、大丈夫大丈夫」 腕を引かれ立ち上がって中尾に抱きしめられ背中をポンポンと優しく叩かれる。スーッと昂ぶってた気持ちが落ち着いてハッと小さく息を吐いた。 中尾から離れていつも通りの俺を見せようと薄く笑った。 「ふふっ、ごめんねぇ、ちょっと今日はムカつくことが多くてさ〜」 「ああ。落ち着いたならいい、組に行くか?このまま家に帰るか?」 「···これ、片付けないといけないでしょ?組に行くよ、今日はそっちで寝る」 「わかった。」 倒れてる、俺がやったやつらを担いで組から来てくれた車に乗せてトラの所に運ぶ。トラは俺たちのような中々普通の病院に行けないやつを診てくれる医者だ。浅羽組のやつならきっと一度はあいつの所に行ったことがあるはずだ。けれどそのトラは所謂オネェで母親みたいな所があって···俺は少し苦手。 「赤石、痛むとこあるならお前も診てもらえよ。」 「ないよ」 「手、青くなってきてんだろうが」 「大丈夫だってこんなの。」 「ハァ。お前あれだ、一回怒ったら中々止まらねえのどうにかしろ。」 「うーん、難しいよね」 トラの所まで行く車の中で中尾にそう言われる、わかってるんだけどね、中々悪い性格は治らない。 「手、診てもらえ」 「もぉ、心配性だなぁ」 「早く行け」 トラの所について怪我人が中に運ばれていく、俺も無理矢理その中に混ぜられてトラの前の椅子に座った。 「あの子達殴り倒したのあんたなのねぇ、そりゃああんなにしたらこんな手になるわよ」 「んー、痛くないけどね」 「嘘つかない、こんなになったら痛いわよ!」 「いや、もうこういう痛みには慣れてるからさ」 「···無理しないの。」 髪をポンポンと撫でられる、鬱陶しいなとそれを振り払うとケラケラと笑われた。 「今日はここで休んで行きなさい」 「いや、組に帰るよ」 「あらそう?じゃあ手はちゃんと冷やしておきなさいよ」 「うん」 「気をつけて帰りなさいね。早河はいる?呼んできてくれない?」 「わかった」 立ち上がって部屋を出て早河を探す。早河はすぐに見つかった。すぐそこで中尾と話をしててトラが呼んでるよって言ったら「わかった、ありがとな」と肩を優しく叩かれた。 「早河心配してたぞ」 「えー?」 心配って、一体何のなのかわからないな。

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