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第14話
「おー、どうした?」
「ちょっと匿って?」
「いいけど、お前仕事はいいのか?」
浅羽晴臣さん。まだ高校生だけれどそんなことを思わせないくらい寛大で頼れる若頭。
「ちょっと幹部室に行きたくなくて」
「ふぅん。俺も今日は学校行く気ねえからな、赤石と遊びまくる予定だ!」
「わーい、何しますかー?」
「そうだな···うーん···」
そうして話しているとうるさい足音が聞こえた、その音からするに2人かな、この部屋にそれが近づいてるってことは···
「若!!」
「そこ入っとけ」
入っとけと言われたのは押入れ。そこに小さく丸まって隠れてると「失礼します、命です」「八田です。」とみっちゃんと八田の声が聞こえて、続いて「おー、入れ」と若の声が聞こえた。
「どうしたー?」
「···赤石は、いますよね?どこですか。」
「さあな〜」
「若、俺たちにも仕事があります、教えてください」
「悪いが無理だ!赤石とは話さないといけないこともある」
八田と若がそう話してると小さな声でみっちゃんが話し出す。
「···赤石、大丈夫そうですか」
「心配すんな、大丈夫だ。」
「ならいいです。八田戻るぞ」
「はあ!?赤石には仕事があるだろ!?」
「今日ぐらい俺がやってやるよ、あいつも疲れてんだろ。休ませてやらねえとな」
キュッと胸が苦しくなる。みっちゃんは誰に対してもだけど優しい。それは今はなんだか嫌で。2人が出て行って少しすると「もういいぞ」って若が声をかけてくれたんだけど出ることができない。
「おーい」
そろっと襖を開けて俺の様子を見る若。
「お前、どうしたの?」
「ぅ···っ」
泣きそうなんだけど、どうしたらいいのこれ。若に抱きつくのは甘えすぎてダメな気がして必死で顔を隠して落ち着かないとと深呼吸を繰り返した。
「しんどいときは頑張らなくていいんだからな。」
「うん」
「ここにはしんどい奴に無理させるような人間はいないから」
「···うん」
頭を撫でられると少し楽になった。
本当に、どっちが年上なんだよって思っちゃうよ。
「ありがとう、若」
「何がだよ。あ、なあ今から出かけね?俺欲しいものあってさ!!」
こういう若の優しいところが大好きだ。
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