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第18話
若たちも待ってるし早く行かなきゃと、俺は何も見てませんよーと踵を返し歩く。
向こうからは俺を止める声も何も聞こえなかったし、やっぱりもう関係ないもんねってちょっと寂しくなった。
「買ってきましたよー」
「おう、ありがとな!」
「いただきます!!」
クレープに噛り付いたナチくん、口の端にクリームつけても構いませんって感じで食べ進めていく。
「おいナチ、クリームついてる」
「ん、んー?」
「ここ」
「後で取る!」
若に指摘されて取ろうと思ったようだけど、場所がわからなかったみたいで結局最後に取るからいいって付けたまま。
「お子様か」
「あ!?」
「もーちょっとじっとして」
口の端についてるクリームを指で取ってあげる、俺もちょっと甘いの食べたかったし〜ってそれをそのまま口に含む。あー、たまに食べる甘いのは美味しい!!
パってナチくんを見ると、あれ、顔が真っ赤になってる。びっくりしてるのか、照れてるのかわかんないけど、口をパクパクさせて金魚見たい。
「食べないなら食べるよ、俺」
「い、いい!俺食べる!!」
「あ、そ。じゃあ早く食べな」
照れてるのを隠すためかまた勢いよくクレープに噛り付く。そんなに慌てなくていいよって言ってやってもその勢いは止まらなかった。
「で、どこ行くんです?若。」
「おい、外でそう呼ぶな」
「あ、そうだった〜。どこ行くんですか、ハルさん」
「ああ、この上!」
上?上の階になんかあったっけ?店を思い出そうとしても無理だったからすぐ諦めて。ナチくんがクレープを食べ終わったのを見てから「じゃあ行きますか」と立ち上がった。
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