25 / 242

第25話

「ねえねえ3分数えて」 「携帯あるだろ。タイマー設定しろ」 「もー、面倒くさいなぁ」 カップラーメンにお湯を入れて携帯で3分はかる。その3分は短いようでちょっと長くて、椅子に座りながら暇だなぁってあくびを零した。 そうしてるとテーブルの端にある燈人の携帯が震える。止まないバイブ音、どうやら電話らしい。 「鳴ってるよ」 「取って」 「んー、キャッチして」 携帯を燈人に投げて燈人はそれを確認する。途端チッと舌打ちを打った。嫌な相手なのかな。 「何だ」 電話に出る声も明らかに不機嫌で相手はどんな子なんだろって頭の中で想像する。 そんな中、燈人は会話を続けていて、「無理だ」とか「来るな」とかそんな内容からセフレの子かな? 「あ、3分···」 タイマーがなって3分を知らせる、いただきますと手を合わせて蓋を開けよく混ぜてからズズズっと麺を啜った。 「んー···やっぱりシーフードだよね」 独り言を呟くと電話を終えたらしい燈人が溜息を吐いてる。 「何ー?どうしたの」 「いや···もしかしたら女が来るかもしんね」 「セフレ?」 「ああ、まあ。」 「ふぅん、別にいいよ。俺帰ろうか?」 「いや、いい。」 「そう?」 会話を切ってまた麺を啜る、食べ終わってご馳走様って手を合わすと燈人がそれを片付けてくれた。 「ねえ、俺だけにしない?」 「何がだ」 「んー、他の子達、全員切ってよ。」 「······わかった」 わかったと言われてびっくりして燈人を二度見した。 「え、本当!?」 「お前が言ったんだろ」 「でもきいてくれるとは思わないじゃん!」 「俺も、こうなるって思ってなかった」 わー、なんかすごい愛しく思えてきた。燈人がこっちに来たのをいい事に腰に腕を回し抱きついてみる。 「何だよ」 「んー、何か今すごく燈人のこと好きになったかも」 「あっそ。」 「えー、反応それだけ?悲しいよ俺」 「···俺もお前の事は前より好きだな」 前より、って付いてても好きって言われたのには変わりはないから、嬉しくて燈人の腰に額をグリグリと当てた。 「痛えよ」 「うん」 「うんじゃなくて」 「我慢して」 そうしてまだくっついてると頭を撫でられる。何か幸せだなぁ、って思ってるとまるでそれを壊すかのようにインターホンが鳴り響く。 「チッ、来やがった」 「あー、もう。」 燈人から離れて行ってなよって玄関を指差す。ああ、と頷いてそっちに向かった燈人を見てから、カップ麺をキッチンに置いて、それから寝かせてもらおうって寝室に入った。

ともだちにシェアしよう!