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第26話
ベッドでゴロンと寝転がってうとうとしてるとリビングから女の声が聞こえてくる。
「ねえ、何で電話で何回も断ってきたのよ」
「うるせえよ、関係ねえだろ。さっさと帰れ」
「いーや。今日はここに泊まるって決めてるの。」
「迷惑な女だな」
「ふふ、何でもいいわ。ねえ、シましょうよ」
えー、本当迷惑じゃないか。勝手に泊まっていくってこと決めてるの君。なんて思いながらまあ関係ないか、と目を閉じた。
「今日はもう先約があるんだよ」
「はぁ?あたしよりその子がいいの?」
「ああ」
「誰よそれ、連れて来なさいよ。その子が来るまで帰らないわ」
「お前なぁ···」
燈人も面倒になったみたいだ、寝室のドアがガチャっと開いて俺を呼んでる。
「ちょっと来てくれ」
「んー、起こして」
燈人に起こしてもらって一緒にリビングに出た。
「は!?男!?」
「初めましてぇ」
「嘘、あり得ない!!女より男がいいの!?あたしよりそいつが!?」
キンキンと耳に響くうるさい女の声にあからさまに顔を歪めてしまう。それに女がムカついたのかこっちにやってきて俺の胸ぐらを掴んだ。顔は可愛いけど、こんな子嫌だなぁ。なんて思いながら笑顔を繕って俺より身長が低いその子を見下ろす。
「離してくれないかなぁ」
「あんた燈人に何したのよ!!」
「酷いな、何もしてないよ」
「嘘よ!脅してるんでしょ!?」
脅すって···何で俺が燈人を脅さなきゃならないんだ。意味がわからないしさっきのいい感じの雰囲気を壊してくれたこの子にちょっとイライラしてくる。
「もう離してくれないかな、俺ね、今ちょっとムカついてるからさ」
「知らないわよそんなの!!」
「んー···」
嫌だなぁ、自分の黒いところが出そうで嫌だ。組に入って暖かい家族みたいな親父や組員達がいても、どうしても治らないこの黒いところ。ムカついたりすると出てしまうそれは昨日も出たばっかりなのに。
「離せっつってんだろ。殺すぞ」
「はぁ!?出来るものならやってみなさいよ!」
「···わかった、でも後から止めても許さないも恨むも聞かないよ」
そう言って拳をぐっと握る。それを見た燈人はさすがにダメだと思ったらしく俺の腕を掴んで引き寄せた。
「ちょ、なに···んっ!」
「落ち着け」
そのまま優しくキスされて黒いのは消えていく。その感覚が気持ちよくてもっとってキスを強請ると「後でな」と止められてプーと唇を尖らせた。
「何よ!何で···そいつなんか···!!」
「なあ、お前忘れたの?どっちかが嫌になったら関係を切るって約束だっただろ。」
「っ、でも!!」
「でももクソもねえよ。さっさと出てけ。」
女は唇を噛んで俺をキッと睨んでから家を出て行く。
「キスは?」
「その前に、女を殴ろうとするな」
「だってあの子がいいって言ったんだもん」
早く早くって燈人の首に腕を回す。すると激しいキスが落ちてきて気持ちよくて黒いのは綺麗さっぱり消えていく。
「なあ、お前の仕事ってなんだ。普段何してんだよ」
「えー?じゃあ燈人が何してるのかも教えてくれる?」
「···ああ」
じゃあ教えてあげよ。って燈人のことも一つ知れるのが嬉しくて、ふふっと笑った。
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