27 / 242
第27話
「俺はね、ヤクザ。一応組の幹部してる」
「は···?お前が幹部で大丈夫なのか」
「何それ!酷い!」
うえーんって泣く真似をするとうざそうに目を細めた燈人。あんたは何してんのさ、というか何でヤクザって聞いて驚かないんだろう。そう思いながら詰め寄れば言いにくそうに俺から視線を逸らした。
「ちょっと、教えてよ」
「あー···おう」
「早く!!」
「···俺は、若頭」
「わ、かがしら!?え、待って、若頭!?」
「ああ」
焦って燈人から離れた。そしたら燈人は困ったみたいに笑って俺に手を伸ばしてくる。
「そんな反応しないでくれ。」
「いや···うん、ごめん。あのさ、苗字からするに···桜樹組?」
「ああ。お前は」
「俺は、浅羽組···」
「は!?浅羽!?」
今度驚いたのは燈人だった。それはそうか、ここら辺を占めてるのは浅羽組だ。
俺は桜樹組のことを頭の中で何とか思い出そうとしてピコン!と思い出した。
「桜樹組は、浅羽組と仲、いいよね?確か」
「ああ」
「···あー!よかった!!敵だったらどうしようって思った!!」
安心して燈人に擦り寄りよかったよかったって息を吐く。
「今日、俺と一緒にいた2人覚えてる?」
「なんとなく」
「あの内の、金髪の方、あれうちの若だよ」
「そうだったのか。俺は浅羽の若頭に会った事がねえからさ」
「うん、今度組に来る事があったら紹介するね。」
「ああ」
安心したら眠たくなってきた。燈人とベッドに向かってゴロンと寝転がる。
「ねえ、俺の事好き?」
「···まあまあ」
「えぇー。俺の事好きになってよー」
「なるんじゃねえの、そのうち」
「ほんと!?」
「ほんと。ほらもう寝ろうるせえ」
電気を消されたから燈人に引っ付いて目を閉じた。このまま、お互いが好きになって幸せになれたらなって···思ってたのに。
ともだちにシェアしよう!