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第28話
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目が覚めてググッと伸びをしようと思うと体が動かなくてびっくりする。何?と後ろを振り返れば燈人が俺をがっしりと抱きしめてて嬉しくなった。
なんとか寝返りを打って燈人の方を向いて、綺麗な顔をジーっとみつめる。頰に手を伸ばしてスルリと撫でると燈人の目がゆっくりと開いた。
「おはよ」
「···ん、まだ、早いだろ」
「うーん、今6時かな」
「寝ろ。···今日仕事は」
「あるんだよね、それが」
「チッ···何時に起きたら間に合う。送ってやる」
優しくなったねぇって燈人の背中に腕を回してくっ付く。そしたら燈人が俺の髪をポンポンと撫でてくれた。
「7時半に起きたら間に合う」
「ならもう少し寝とけ。俺もまだ寝たい」
「うん。」
俺の頭を撫でる手が止まる、えー、やめちゃうの。って思ってたら燈人はその手をそのまま俺の背中に回して抱きしめてくれた。
「なんか、こういうのいいね」
「あ?」
「何でもない」
幸せだなぁって思える朝はいつぶりだろうか。もう何年も味わってないそれを感じられて目頭が熱くなった。
「起きろ」
「···ん、」
「7時半だぞ」
「···うん、起きるよ」
肩をトントン叩かれて起きるよって体を起こす。んー、って伸びると「大丈夫か」って腰を優しく摩ってくれる。
「大丈夫だよ」
「そうか。」
ベッドから二人で出て、燈人が淹れてくれたコーヒーを飲んだ。
「今日も···」
「んー?」
「今日も、ってかこれからは、いつでもこい」
「···ねえそれって俺のこと好きなんだって勘違いするけどいい?···ていうかそこまで言うなら同棲しようよー。」
冗談まじりでそう言うとうーん、と悩んだ燈人がグッと拳を握り覚悟を決めたような顔で俺を見た。
「···わかった、じゃあこれからここに帰ってこい」
固まること数秒。
くくっと笑って嘘でしょ。って軽く言ったのに燈人は至って真剣な顔。これは冗談で言ったんじゃないんだと感じて思わず立ち上がり大声を出してしまった。
「冗談で言ったんだけど!!」
「冗談でそういうこと言うのかお前は」
「いや···え、違うよ?違うけど!」
「じゃあ···これからはそうしろ。」
「付き合う?俺と付き合うってことでいい!?」
「···いいから、言ってる」
顔を赤くして手で口元を隠す燈人。
なんだか信じられないけれど、とにかく嬉しくて思い切り抱き着いた。
「あっぶねえ!!」
「やったぁ、すごいね、俺たち出会って何日目か知ってる!?まだほんの少しなんだよ!?」
「いや···離せ」
「燈人ぃ」
ちゅっちゅって頰にキスを落とすと照れてるのか耳まで赤くなってるのがわかってさらに愛しく思えた。
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