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第29話

「じゃあな」 「うん、ありがとね」 組の近くまで送ってもらってバイバーイと手を振った。 気分良く門を潜り長い廊下を歩く。そのまま幹部室に行こうーと鼻歌を歌いながら進んでると横から手が伸びてきてびっくりして立ち止まった。 「誰か···飲み物···」 「え、若何してるの!?」 部屋から倒れそうになりながら出てきた若を抱きとめてどうしたの!?と聞いてみる。 「死ぬ···しんどい···」 「···熱あるね」 若の額に手を当てると異様に熱くて若を部屋のベッドに寝かせて「飲み物とってきますね」と組のキッチンに向かう。 後でトラに来てもらおう。キッチンで冷蔵庫からスポーツドリンクのペットボトルと冷えピタを取り出してそれを持ってまた若の部屋に戻る。 その途中で早河に会った。 「おはよ」 「おはよう」 「あのさ、トラ呼んでくれない?若が熱で倒れてるんだよね」 「わかった」 トラが来るまで若を見ておいてくれと言われ了解と足早に若の部屋に歩いた。 「若入りますよー」 返事はないけれど静かに中に入って苦しそうに呼吸する若。額に汗で張り付く髪を退けてゆっくり冷えピタを貼った。 「ん···」 冷たさで目を開けた若にスポーツドリンクを渡すけれど起き上がるのが自分一人でできないらしくて若の後ろに回りそこに座って支えてあげる。 「飲めます?」 「飲める···」 ボーッとしてうまく力が入らないようでペットボトルの蓋が開けられないらしくて、それを開けてついでにと若の口に飲み口を持って行った。 コクコクとそれを飲んで喉を潤していく若。飲み口を離してはぁと息を吐く。 「まだ飲みます?」 「いい、いらない···」 「じゃあ後でトラが来てくれますから、それまで寝ててくださいねぇ」 「ん···」 若を寝かせてあげて俺はこのままここでトラが来るまで待ってないと。って携帯を出して時間を潰していた。

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