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第31話

仕事があともう少しで終わる!って時にトラに若の部屋に呼ばれて仕方なしに向かった。 「ハルは大丈夫よ。とにかくゆっくり寝かせてあげて、疲れてるみたいだから。」 「うん。···何でそれを俺に言うの?親父か姐さんに言えばいいじゃない」 「だってハルと一番仲良いのは赤石でしょ?それにハルはあんまり親に心配かけたくないっていうタイプだしー?さっき親父たちには言わないでって言われてね」 「そう、」 「···そ、だから今日はこのままハルのこと見ててあげて欲しいの。多分熱は夜にもっと上がると思うから」 「うん、わかった。」 燈人のところには今日は戻れないけれど、若のためだもんね。 「ちょっと電話してくるから」 「いいわよ、あたしは暁のところに行くからー」 暁とは浅羽組の頭。俺たちの親父。 トラは親父と仲が良いみたいでここに来ては話して帰ることが多い。 「うん、じゃあね」 若の部屋を出て少ししたところで燈人に電話をかけた。 「どうした」 低い声、それは心地よくて口元が緩んだ。 「あのさ、今日帰れそうにないんだよね」 「何かあったのか」 「ちょっとね。ごめん」 「わかった、気をつけろよ」 「ありがとう」 電話を切って小さく息を吐いた。 「ん···」 「あ、起きましたー?」 ベッドの隣で本を読んでると若が起きたみたいでモゾモゾと体を動かしてる。 「喉、乾いた···」 「あ、はい。座れますー?」 「···無理」 さっきしたみたいに若を支えて飲み物を口元に持っていくと喉を鳴らしてゆっくりと飲みこんだ。 「んー···」 「まだ飲みます〜?」 「いらない···暑い···」 「着替えますか?汗かいてるし···」 「···うん」 若の背中をベッドヘッドに預けて俺はクローゼットから服を取り出した。若の後ろに回ってTシャツを脱がせて体を軽く拭いてから新しい服を着せる。 昔こんなこと弟にしてあげてたなぁなんて思い出しながら。 「赤石···」 「何ですー?」 「んー、へへっ···」 「何ですかー」 「親父と、母さんには···言ってねえよな?」 「言ってませんよ。」 そう言うと安心したように深く息を吐いた若。熱のせいでか涙目になっているけれど俺はそれだけの理由で涙目になってるとは思わなくて。 「大丈夫ですよー」 「···ん」 「よしよし」 普段なら絶対しないけど、若を抱きしめて頭を撫でた。そうしてると若はウトウトしだしてそのまま眠ってしまう。若をゆっくりベッドに寝かせて、それからもトントンと撫で続けた。

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