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第43話

「何を怒ってるんだ」 「うっわー、今早河の顔見たくなかったのに」 「あ?」 組について一番に会ったのは燈人に似てる早河で。 「今日は早河と話したくない気分だよ」 「話さなければいいだろ。」 「そうだけど!そうじゃないじゃん!」 何を言ってるのかわからない。と首を傾げる早河にもういいと言って幹部室に入る。そこには八田と中尾がいて、みっちゃんはまだか。と少し肩を落とした。 「八田ぁ」 「何だよ、引っ付くな」 「あのさ、今日の俺はやる気無いの」 「いつもだろうが」 「違うし、何言ってくれてんの本当。いつもはやる気に満ち溢れてるよ」 だらり、椅子に座って仕事をする八田の背中にもたれて話をしてると中尾が「よっしゃ!!」と叫んだ。何してるのか気になってそっちに目をやると携帯ゲームで。 「ちょっと、怒られるよ。」 「知らねーしー」 あーあ、ほらもう八田ちゃん怒り始めてるよ?今小さく舌打ちしてたもん。 「俺若のところ行ってくるねー、そしたら仕事頑張るからさー」 「ああ、早く帰ってこいよ」 フラフラっと幹部室を出て若のところへ行くけど若はまだ寝てた。若の部屋に勝手に入ってボーッとしながら燈人のことどうしようって考える。 話を聞いてくれないんじゃどうしようもない。傷つくのが怖いからそれならそれでもういいんじゃないかって思ってしまう。 「若、起きて」 でも燈人のことが本当に好きだから傷つくのが怖いって思うんだと理解してる。わかってるけど···ってあー嫌だ嫌だ、こんなことぐるぐるずっと考えている自分が嫌だ。 「わーかー」 「···っるせぇ」 「若起きて、朝ですよぉ」 「···赤石?」 「はい」 寝返りを打ってこっちを向いた若は俺を見て「何かあったのか?」とあくび混じりに聞いてきた。 「何も無いですよー」 「その割には苛立ってんじゃねえか」 あはは。と笑うけど若には通用しないみたい。 「そんなことより、若この前言ってたじゃ無いですか。好きな人のこと教えてくださいよ」 「起きて一番にする話でもねえだろー···俺はまだ寝足り無い」 「昨日何時まで起きてたんですか」 「ついさっきまで。」 そう言って布団にくるまりクカーと寝だした若。もう何してるのこの人、高校生でしょ。単位取れるの。ちょっと心配だ。

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