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第48話 真守side
あっという間に会合の日になってしまった。
スーツを着て親父と若の後ろを歩く。
ホテルの広いホールを使って会合は開かれるようでホテルの廊下をボーッとしながら歩いてると若に「おい」って声を掛けられた。ササッと隣に行き「はい?」と言うと若は眉を寄せる。
「今日の会合がそんなに嫌なのか?」
「···嫌ですねぇ」
「嫌なのはわかったが、その顔をやめろ」
どうやら嫌だっていうのが顔に出てたらしい。いつも通りにヘラリ笑って若の後ろにまた戻るとみっちゃんに「大丈夫か?」って心配されてしまった。
「何が?俺はいつでも大丈夫なんだけど」
「そうかよ」
「···これ、何時に終わるのかな」
「さあ。お前会場に居たくねえならトイレにでもこもっとけよ」
「それは若に怒られそうだからやめとくよ。せめて会場の外でそれなりに働いとく」
あっそ、と頭をポンと撫でられ先に進んでくみっちゃん。俺は足を止めて小さく息を吐いた。
「若、俺外にいるんで」
「お前なぁ···。わかった、外にいるのはいいが逃げ出したりするなよ」
「するわけないでしょー!」
もう少しでホールに組全部が集まると思い燈人に会わないうちに会場の外に逃げようとドアを開けようとした時、外からドアが開いてどこかの組の頭が人を連れて入ってくる。
慌てて頭を下げ、向こうに行く足が少なくなったと思えば1人が俺の前から動こうとしなくて、不思議に思い顔を上げる。
「···失礼しました」
「············」
燈人がいつも俺と会う時より難しい顔をしてそこにいて、最悪じゃーん!!!と心の中で叫んだ。
失礼しました、それだけ行って会場の外に逃げた俺は嫌な気持ちを振り払うためにホテルの外に出て深呼吸を繰り返す。
「俺は誰とも何もしてねぇっつーの···」
だから今だって三日もしてないから溜まってるし···、本当に新しい相手を探すか?昨日だってそんな考えに至ってた。
しゃがみ込んで少し苦しくなって締めてたネクタイを緩めると後ろから「おい」と低い声で声を掛けられて慌てて立ち上がりそっちを見た。
「···何だよ、あんたか」
立ち上がって損した。またしゃがみ込んで苦しくなる胸を落ち着かせようとゆっくり目を閉じて深く息を吐く。
「なあ」
「俺は俺の話を聞いてくれない人の話なんて聞かないよ。」
そう言うと俺の隣に座った···燈人。
なんだよ今更何がしたいのってあからさまにそんな顔をしてしまったのだろう。「その顔やめろ」って言われてしまった。
「それで?もう会合始まるんじゃないの?何でてきてるの?」
「それはお前もだろ」
「俺はいいんだよ、頭でも若でもないから。あんたは若頭だろ」
そういうとそれもそうだと立ち上がった燈人。本当何しに来たんだよこいつは。若干イラつきながら俺も立ち上がる。
「···お前の話、聞く」
「はあ?」
「···お前の話をちゃんと聞く」
去っていく燈人、どうやら彼はそれだけを俺に言いたかったらしい。
「今日、あんたの家行くから!!」
「ああ」
周りには人はいなかった。だからそう叫んで満足して、少し良くなった気分。会場に俺も戻るかー!ってスキップ混じりで歩いた。
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