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第53話
***
「何だよ、今日は機嫌いいのかよ」
「んー?···ふふっ、最っ高にいいね」
翌日の幹部室
ルンルンでいる俺に八田ちゃんが羨ましいって叫んで机に伏せた。何かあったのかな、いつもより子供っぽくなってる。
「何々?どうしたの?」
「昨日の···好きな番組の録画忘れてた」
「えー、何だよそんなことかー!」
「そんなことって何だよ!あれは俺の一週間のうちの楽しみの一つなんだよ!」
机をどんっと殴った八田ちゃん。様子を見てた早河が「元気出せ」と、いつも八田ちゃんが仕事を頑張ってくれてるからかな。優しくそう言ってる。
「おはよー諸君!!」
そう大声で言いながら幹部室にやってきたのは中尾。ヘラヘラ笑って自分の席について仕事すんのかな?と思えば携帯を取り出し「やっべー、ログインしねえとポイントポイントー!」とゲームを始めた。
「うちの幹部ってまともなのあんまりいないよね」
「お前に言われたくねえだろ」
「あー、みっちゃーん」
頭をガシリと掴まれた。わー今日は全員集まってる。ってまあ大体がそうなんだけど。
「あ、そういえば赤石」
「んー?なぁに?」
みっちゃんが振り返って俺に近づいて耳元でこそっと言う。
「お前桜樹組の若頭と知り合いか?」
「えっ!?」
驚いて大きな声出しちゃってみっちゃんが目を見開いた。八田ちゃんも中尾も早河も何だとこっちを見てくる。
「何で?」
冷静を繕ってそう聞くとみっちゃんは怪しい顔をした。
「昨日、俺たち以外の組もいただろ。そいつらが話してた。お前と桜樹組の若頭が話をしてたって。」
「わー、はは···見られちゃってたんだー」
別に見られちゃ悪いってわけじゃないけど、俺たちの関係を知られるのはきっとまずい。
「そう、ちょっと知り合いなんだよね」
「···へぇ?」
「あれ、信じてくれてない感じ?」
「知り合いなのは信じる。ちょっとじゃねえんだろ。本当のこと言え」
ジリジリと距離を詰められてわかったわかったと顔を縦に振る。でもこれは燈人の許可がいるよなって思って···
「ちょっと待っててね」
「おう」
さっき別れたばっかだし、こんな理由でだけど燈人と電話できるのがちょっと嬉しかった。
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