53 / 242

第53話

*** 「何だよ、今日は機嫌いいのかよ」 「んー?···ふふっ、最っ高にいいね」 翌日の幹部室 ルンルンでいる俺に八田ちゃんが羨ましいって叫んで机に伏せた。何かあったのかな、いつもより子供っぽくなってる。 「何々?どうしたの?」 「昨日の···好きな番組の録画忘れてた」 「えー、何だよそんなことかー!」 「そんなことって何だよ!あれは俺の一週間のうちの楽しみの一つなんだよ!」 机をどんっと殴った八田ちゃん。様子を見てた早河が「元気出せ」と、いつも八田ちゃんが仕事を頑張ってくれてるからかな。優しくそう言ってる。 「おはよー諸君!!」 そう大声で言いながら幹部室にやってきたのは中尾。ヘラヘラ笑って自分の席について仕事すんのかな?と思えば携帯を取り出し「やっべー、ログインしねえとポイントポイントー!」とゲームを始めた。 「うちの幹部ってまともなのあんまりいないよね」 「お前に言われたくねえだろ」 「あー、みっちゃーん」 頭をガシリと掴まれた。わー今日は全員集まってる。ってまあ大体がそうなんだけど。 「あ、そういえば赤石」 「んー?なぁに?」 みっちゃんが振り返って俺に近づいて耳元でこそっと言う。 「お前桜樹組の若頭と知り合いか?」 「えっ!?」 驚いて大きな声出しちゃってみっちゃんが目を見開いた。八田ちゃんも中尾も早河も何だとこっちを見てくる。 「何で?」 冷静を繕ってそう聞くとみっちゃんは怪しい顔をした。 「昨日、俺たち以外の組もいただろ。そいつらが話してた。お前と桜樹組の若頭が話をしてたって。」 「わー、はは···見られちゃってたんだー」 別に見られちゃ悪いってわけじゃないけど、俺たちの関係を知られるのはきっとまずい。 「そう、ちょっと知り合いなんだよね」 「···へぇ?」 「あれ、信じてくれてない感じ?」 「知り合いなのは信じる。ちょっとじゃねえんだろ。本当のこと言え」 ジリジリと距離を詰められてわかったわかったと顔を縦に振る。でもこれは燈人の許可がいるよなって思って··· 「ちょっと待っててね」 「おう」 さっき別れたばっかだし、こんな理由でだけど燈人と電話できるのがちょっと嬉しかった。

ともだちにシェアしよう!