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第57話
風呂から上がって服を着る。
髪を乾かすのが面倒で濡れたままリビングに出ると燈人が眉を寄せて俺のところまで来てタオルでガシガシと髪を拭いてきた。
「風邪引くだろ」
「そんなヤワじゃありませーん」
「ちゃんと乾かせ」
ドライヤー持ってきてやるって洗面所に消えた燈人を待ってボーッとする。今日の燈人の言葉嬉しかったなぁって。
「おい」
「ねえそういえばさ、燈人って俺のことあんまり名前で呼ばないよね。なんで?」
「あー···今更名前呼ぶのってなんて恥ずかしくねえか」
「恥ずかしくないよ!ほら、名前呼んで」
逃げられないように燈人の顔を両手でサンドした。
「まさか、名前忘れたとかないよね?」
「それはない」
「じゃあほら、言いなよ。ほら」
「···ま、」
ま、までいって口を閉じた燈人。ジーっと睨めば諦めたように「真守」って小さく呟くように言った。
「ふふっ」
「···なんだよ」
「これからはそう呼んでよ」
「···たまに」
「なんでー!恥ずかしいの?」
「そうだって言っただろ」
フイッと手から逃げて顔を逸らした燈人を追っかけて髪の毛乾かしてと言うと「ここ座れ」って椅子を出してくれる。
「お前もっと髪暗くしろよ」
「なんでー?眩しいから?」
「そう」
「でもさぁ、金髪イコール俺って感じじゃん?」
「知らねえよ」
えー、って言いながらも髪を暗くすることを考える。でもなぁ、俺が髪暗くしたら気持ち悪くないかなぁ。って。
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