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第65話
夜、まだ真守は帰ってこない。
どれくらいになると電話で聞けば8時は過ぎるらしいが、もう少しでその時間になる。
羽島はもう来ていて俺と真守の晩飯を作ってくれていた。
「若って本当料理できませんもんね。一人で暮らすって言い出した時は全員止めたくらいですもん」
「···うるせえな」
「組にある電子レンジが何度卵で痛めつけられたか···」
ゆで卵のこと言ってんな···と昔のことを思い出して薄く笑った。
「彼女さん、遅いんですねぇ」
「ああ、遅い時は日付変わるくらいだから」
羽島には付き合ってる奴に会って欲しいと頼んだ。
その付き合っている奴を女だと思い込んで「そんなの危ないじゃないですか!」と俺を怒るけれどあいつは女じゃねえし、危険なこともそれなりに対応できるだろうし。
「迎えには!?」
「たまに」
「たまに!?」
「···ていうか焦げるぞ」
「え、うわぁ!」
話に夢中になって手元を見てなかった羽島。グツグツいってるカレーから少しだけ焦げた匂いがした。
その時ガチャっと玄関から音が聞こえて来てピクッと反応した羽島。
リビングに来るのがどんな奴なのか気になって仕方ないようで火を消してジーっとドアを見つめてる。
「たーだーいまー」
「おかえり」
「おかえりなさー···っえ?」
「え?」
真守はこいつ誰だって顔で羽島を見て、羽島もなんだこいつといった顔で真守を見た。
「はっ···!まさか燈人!もう俺に飽きたの!?」
「違う、話があって」
「話って何!?嫌だよ別れるとか!!納得できる理由なら仕方ないと思えるかもしれないけど!!」
「違うって、落ち着けよ」
「お前誰だよ!!」
羽島に掴みかかりそうになってる真守を止めソファーに座らせた。羽島を呼んでまずは紹介だよなと羽島の方に手を出した。
「羽島、俺の側近、桜樹組の幹部」
次に真守の方に手を出して
「赤石真守、俺の恋人、浅羽組の幹部」
2人はぎこちなく宜しくって小さい声で呟くように言った。
「って若!恋人!?男ですよ!?しかも浅羽組!?」
慌てふためく羽島に溜息が漏れた。
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