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第71話
そのまま夜は明けて朝になる。
お風呂に入ってソファーに座り、また毛布にくるまって今日は無断欠勤。
怒られるとかどうでもよく思えてゴロゴロしていると早速早河からの電話がきた。
出る気にならなくて携帯の電源を落とし無視し続ける。
ご飯も食べる気になれなくて、水だけ飲んでテレビを見たり、読む時間があんまりなくて進んでなかった小説を読んだり。
時間が空いて、何をすることも無くても暇だとは思わなかった。こんなになるくらいなら燈人から離れなかったら───···違う違う。その選択肢は与えられなかっただろ。ていうか自分が逃げただけ。
そんなことをずっと考えているとだんだん眠たくなってきて、また目を閉じた。
───···ピンポーン
「ん···」
軽快な音が来客を知らせる。
誰が来たんだろう?でも今は出る気にならない。
───ピンポーン
「んー···」
その後も何度も何度も鳴り続ける音に我慢が出来なくなった。
「うるっさい!!」
玄関に行ってがちゃりドアを開ける。
するとそこには八田がいて、やばいと慌ててドアを閉めようとした。
なのに、ドアが閉まる直前、靴を差し込まれて締めれない。そのうちギギギとドアが開いて八田ちゃんと、それからみっちゃんも俺の視界に映った。
2人が家の中に入ってきて、逃げるように寝室に飛び込む。
「赤石!!」
「嫌だっ!!」
布団にくるまって小さくなってると布団を剥がれてヤダヤダと首を振った。
「ちょ、八田···」
「何だよ」
「赤石にもなんかあったんだろ。無理矢理出してやるなって」
「···はぁ」
布団から手が離れたみたいで引っ張られる力は無くなる。安心してるとポンポンと優しく叩かれた。
「赤石、何があったのかは知らねえけど、親父も若も心配してたぞ」
「·············」
「もちろん、俺も八田も早河も中尾もな」
「···ごめんなさい」
みっちゃんが優しくそういうから小さく謝ったけど、そこから出たくはない。
また小さくなると「とりあえず出てこいよ」と軽く布団を引っ張られた。
「やだよ」
「何でだよ」
「···今、誰にも会いたくない。家から出たくない」
「何があった」
「何でもないの、ただちょっと自分が嫌になっただけ」
そう言うと八田ちゃんが「俺、リビングの方にいるから」と寝室から出て行く。
みっちゃんはまだここにいるみたい。
「喧嘩したのか?桜樹組の若頭と」
「してないよ」
「会いたくは?」
「ないよ。これから2度とね。···ねえ、みっちゃんお願い。1人がいいんだ。今は外に出ようとも思えないし、誰にも会いたくないんだよ···」
「赤石···」
「お願い、帰って···1人にして」
これはちゃんとお願いしないとダメなのかもしれない。布団から出て、「帰って」って言いながらみっちゃんを押した。みっちゃんは驚いたみたいで目を見開いた。それから俺の腕をガッと掴む。
「お前ひどい顔してんぞ」
「···も、やだ···帰って···お願い」
「おい···」
「帰って!!八田も一緒に!!」
寝室から追い出し、リビングにいた八田も掴まえて2人を玄関から出した。何事だと驚く2人を無視してドアを閉め、鍵をかけそこに座り込む。
「···ごめ、なさい」
そうしたら胸がとても苦しくなった。
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