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第73話

服を着替えて若に連れ出され組に来た。 すぐに若の部屋に行きたいのに廊下は長いし、すれ違う奴らは多いし、いつも通りの俺を演じてみるけれどそれが苦しい。 やっと若の部屋に着いた頃には息をするのが苦しくて、目に涙が浮かぶ。 「頑張ったな」 「···う、っ」 「吐くか?」 「だ、大丈夫···」 ゴロンと床に寝かせてもらって小さくなる。 光を遮断したくて目を閉じた。 ああ本当、今の自分は弱すぎる。 そう思うと突然一人が怖くなった。さっきまで一人が良かったのに。 「水持ってくる」 「い、いいです、大丈夫だから」 「···震えてるじゃねえか、気持ち悪いんだろ?」 「違う···違う、くて」 「ん?」 「···一人に、しないでください」 縋るように若に手を伸ばした。その手を掴んでくれるのは燈人ではないけど、それでも安心できた。 「ちょっと休め」 「んっ···」 「何も考えなくていいから」 そう言われ頭を撫でられて、ふっと体の力を抜いた。

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