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第74話
起きろってユサユサと体を揺らされる。
目を開けると若が心配そうに俺を見ていてああ、ちゃんとしないとって起き上がろうとするのにそれができない。
「···ん、あれ···」
「どうした?」
「起きれない···何で、」
そういえば頭が割れそうに痛い。
若が俺の額に手をやって眉を寄せた。
「トラのところ行くぞ」
「え···」
「熱がある。車出させるからちょっと待ってろ」
「いい!いらない!」
行く気にもなれないし、きっと寝てれば治る。だから大丈夫って言おうとしたのに咳が出てそれが言えなかった。
「一緒に行くから」
「···はぁ、んっ」
「大丈夫」
苦しくて涙がじんわり目に浮かんでくる。大丈夫大丈夫って撫でられて荒くなる息を吐いた。
「車まで歩けるか?」
「ん···」
若に支えられながら立ち上がり廊下をゆっくり歩く。途中でみっちゃんを見かけて若がみっちゃんを捕まえた。
「悪い、車出してくれ」
「え、はい···赤石!?」
「熱があるんだ、トラの所に行ってくれ。」
そう話してる間にも落ちそうになる。車を回してくるって走っていったみっちゃんを見るけど視界もぼんやりしてる。
「後ちょっとだからなー」
返事をするのも怠くて首をこくり一度縦に振る。
廊下を歩いてみっちゃんが車を組の前に回してきてくれてそれに乗り込んだ。若が寝とけって後部席にクッションを置いてくれて、そこに遠慮なく頭を乗せた。
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