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第77話
ご飯食べようって出されたのはお粥。
いつもならこんな量絶対食べることができるのに一口も食べれない、口に入れようと思うと吐き気がする。
「食べれない?」
「···ごめん」
「いいの、無理しないで」
寝てなさいってゴロンと横になるけどさっきまで寝すぎてなかなか眠れない。点滴のおかげで大分楽になったからか眠れないことがしんどいわけじゃない。
「寝れないか?」
「···ボーッとしてるんですけど、寝れない」
「体は?まだ辛い?」
「さっきより、大分マシです」
ここには安心できる人しかいないから、変に怖くなることもないし、多分家にいるより落ち着く。
「···赤石、なんか欲しいものあるか?ほら、ゼリーとか···」
「ううん、今、何も食べれないです···」
「そうか···」
悲しそうな顔をした若に申し訳ない気持ちが溢れてきてごめんなさいと謝った。「謝ることなんてねえだろ。」って笑ってくれるんだけど···モヤモヤした気持ちは晴れなくて。
「ねえ赤石」
「ん···?」
「私に話してみない?何でそんなにあんたが苦しんでるのか。少しは気持ちが楽になるかもしれない、アドバイスだってできるかも」
「···それ、は」
「嫌なら無理に聞くつもりはないわ」
バクバクと心臓がうるさい。今はうまく説明できる気がしない。
「話、できないよ俺···」
「どうして?」
「できる、気がしない。」
逃げてる途中、今ここで立ち止まって後ろを振り返ればまだ帰れるだろうけど、そんなことしたら今度こそ逃げられない。
「今は、何も話したくないし、考えたくもないんだ」
「···そう」
わかったわ。と優しく笑うトラ、ああ、ほらやっぱりその笑顔が俺を苦しめる。
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