79 / 242

第79話

車が来てそれに乗り込んだ。 運転してくれてるのはみっちゃんで、ありがとうと思うのと同時にやっぱり申し訳なくなる。 「もういいのか?」 「熱は、下がったら」 「いや、熱じゃなくて···」 「大丈夫、何にもないよ」 後部席に座りまだ怠い体を背凭れに預けた。 「誰も怒ってねえから、体調が治ったら組に来い、ゆっくりでいいから」 「あー!命!それ俺が言おうとしてたんだぞ!!」 「え、あ、すみません」 そうなんだ、じゃあ治るまでゆっくりしておこう、焦らないでいよう。 ボーッとしてるとだんだん眠たくなってくる。 「眠いのか?」 「ん···大丈夫、です」 「寝ててもいいぞ」 「いや···」 今寝たら嫌な夢を見そうだから寝たくない。 「辛くねえか?」 「大丈夫ですよぉ」 心配そうに俺を見る若に大丈夫だと作った笑顔を見せる。 きっと若はそんなのお見通しなんだろうけど、それでも少し安心してくれたみたいでふんわりと笑った。 「赤石の家でいいんですよね?」 「おう、頼む」 話すことが正直すごく面倒で口を閉ざした。 安心できるっていう点では自分の家に帰れるのは嬉しいけど、やっぱり寂しいから、若も俺と一緒にいてほしいなって、心の中で思った。

ともだちにシェアしよう!