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第79話
車が来てそれに乗り込んだ。
運転してくれてるのはみっちゃんで、ありがとうと思うのと同時にやっぱり申し訳なくなる。
「もういいのか?」
「熱は、下がったら」
「いや、熱じゃなくて···」
「大丈夫、何にもないよ」
後部席に座りまだ怠い体を背凭れに預けた。
「誰も怒ってねえから、体調が治ったら組に来い、ゆっくりでいいから」
「あー!命!それ俺が言おうとしてたんだぞ!!」
「え、あ、すみません」
そうなんだ、じゃあ治るまでゆっくりしておこう、焦らないでいよう。
ボーッとしてるとだんだん眠たくなってくる。
「眠いのか?」
「ん···大丈夫、です」
「寝ててもいいぞ」
「いや···」
今寝たら嫌な夢を見そうだから寝たくない。
「辛くねえか?」
「大丈夫ですよぉ」
心配そうに俺を見る若に大丈夫だと作った笑顔を見せる。
きっと若はそんなのお見通しなんだろうけど、それでも少し安心してくれたみたいでふんわりと笑った。
「赤石の家でいいんですよね?」
「おう、頼む」
話すことが正直すごく面倒で口を閉ざした。
安心できるっていう点では自分の家に帰れるのは嬉しいけど、やっぱり寂しいから、若も俺と一緒にいてほしいなって、心の中で思った。
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