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第91話

組について俺はまた怖いという感情を隠さないといけない。いつも通りに笑顔を練習してから車を降りる。 組員達が俺と俺の隣にいる燈人を見て「あ!」といった顔をする、そりゃ俺が桜樹組の若と一緒にいたら変だなと思うよな。 「赤石さんお疲れ様です!」 「ん、お疲れー」 組員とすれ違う。それが嫌なんだけどそんな顔を見せちゃいけないから笑顔を貼り付けた。 「おい真守」 「ん?」 「無理してねえか」 「大丈夫だよ」 廊下を歩いて若の部屋の前までやってくる。 「若、赤石です」 「入れ」 失礼しますとドアを開け中に入る。若は少し厳しい顔をしてて俺を見る。 「自殺しようとしたんだってな」 「···ごめんなさい」 「······で、その後ろの···ってお前桜樹の若頭じゃねえか!!」 若は驚いて立ち上がり燈人をガシリ掴んだ。 「何でいるんだ!?」 「俺、こいつと付き合ってます」 「は···?お前が赤石と!?」 俺を勢いよく振り返る若はどういうことだ!?と慌てだす。 「えっと···付き合ってます」 「付き合ってます!?」 同じ言葉を繰り返した若はどしんと床に座って「お、おお···」と戸惑っていた。 「あの、俺···若にたくさん迷惑かけてすみませんでした」 「あ?俺はお前に迷惑なんてかけられた覚えねえぞ。だから、そんな顔するな」 ケラケラ笑って俺の髪をわしゃわしゃ撫でる、俺が頭を下げていると隣で燈人も頭を下げた。 「こいつが不安定な時ずっとそばにいてくれてたと聞きました。こいつがああなったのは俺のせいなんです、すみませんでした。」 「あ?お前のせい?」 「···はい」 「どういうことだ」 突然怒り出した若に「えっ」と驚く。 「親父に、跡取りのために結婚しろと言われました。けど俺にはこいつがいたので嫌だと言って···それをこいつに説明したら···」 「俺が、逃げたんです、それだけです。」 そう言うとそうかって頷いた若が燈人の頭をガンと殴った。 「お前が不安にさせたからだな」 「っ、···はい、すみません」 「まあ、それがわかってるならいいんじゃねえか?これからはそんなことがないようにしろよ。」 「はい」 痛みを堪えながら返事をする燈人を見ながら俺ははっと短く息を吐いた。 「赤石、今はまだ誰にも会いたくないとか外に行きたくねえとか思ってるかもしれない。それもきっと少しずつ無くなる。お前はこの組の奴らに愛されてる」 「っ、俺···」 「もっと自信を持っていいんだ。お前はすごくいいやつで優しいから。だから辛い時もあると思う、そうなったらこいつに助けてもらえ」 こいつ、って燈人の肩を叩いた若。 視界がボヤける、涙が溢れてきた。 「はい」 俺は、すごく愛されてる。

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