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第92話
「で?お前の親父さんには認めてもらえたのか?」
「はい」
「じゃあ近いうちに親父と俺でお邪魔させてもらおっかな」
「え、うちの組にですか?」
「ああ」
「歓迎です。いつでもいらしてください」
そうして少し話をしてから若の部屋を出た。緊張に似た、でもそれとは違う何かが解けてフラッとしてしまう。それを燈人に支えられ、とりあえず幹部のみんなのところにって幹部室に向かった。
「あー!!赤石さーん!!」
「っ、あ、なんだ、鳥居か」
「なんだって何ですかぁ···ってあれ?あんたは···何でここに?」
ああそうか、鳥居も燈人に会ったんだった。今若のところに行ってたんだって言うとなるほどー!と言って俺の腕に触る。
「幹部室行くんですよねー?俺命さんにちょうど話あるし、一緒に行きましょ?」
「うん」
燈人の手を取って鳥居に引っ張られるまま幹部室についた。鳥居は幹部室だってのにそんなの関係ないというようにバンッと扉を開ける。中から壮大な舌打ちと八田の注意する声が聞こえてきた。
「鳥居テメェ静かに開けろよー、変に八つ当たりされんの俺なんだからな」
「中尾さんいつもゲームしてるしちょうどいいんじゃないですかー?」
「まあそうだな」
鳥居は俺を放って中尾のところに行く、何となくきまずいけど「あの···」って声を出した。
「おう、赤石。もう体はどうもねえのか?」
みっちゃんが優しく笑いながらそう言う。それから早河も八田も中尾も心配してくれて、ああ、若の言った通り俺は愛されているのかもしれない。
「もう、大丈夫···えっと、すごい迷惑かけて···ごめんね」
頭を下げてそう言うと中尾がケラケラと笑いだした。
「迷惑とか、そんなん気にしてねえよ」
「俺も、そんなことどうでもいい、俺もお前に迷惑かけっぱなしだしな」
みっちゃんがだから謝るなって言ってくれる。八田も早河もそうだって頷いた。
「ただ、もう二度と死のうとか思うんじゃねえぞ」
早河が低い、でも落ち着ける声でそう言う。俺、すごいいい仲間がいるんだなぁって溢れてきた涙をゴシゴシ拭った。
「ありがとう」
もう、苦しくない。
大丈夫。
そう思えた。
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