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第93話
家に帰ってきて燈人が俺をギュッて強く抱きしめてくる。
「どうしたの?」
「···俺ちょっと嫉妬した」
「え、何が?」
「愛されてんだな。本当に」
ふふん、と口角をあげる。燈人の唇にちゅって軽くキスをした。
「みんなから愛されてる俺に、こんなに愛されてる燈人ってすごいね」
「···あ?」
「大好きだよ。」
そう言って笑うと燈人は顔を赤くして俺から視線を逸らした。照れてるんだね?すごく可愛い。
「次は、燈人のお父さんに会わないとね」
「そうだな」
「うん、ちょっとだけ楽しみだな」
俺は、血の繋がった両親が今、どこで何をしているのかわからないから少しだけ羨ましく思う。すぐそこに本物の親がいることが。
「どうした?」
「ううん、なんでもない。」
多分、それが当たり前なんだろうけど。
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