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第105話
「動けるか?」
「動けないよバカ」
「···片付けてくるから寝てろ」
「はーい」
寝室から出て行った燈人に手を振って俺はゴロゴロと横になる。向こうからはガサゴソと音が鳴ってる。間違いなく、AVは全部捨てられる気がする。別にいいけど。
「おい真守」
「あ、何?」
すぐに部屋に戻ってきた燈人が俺に向けてヒラヒラと箱を揺らし見せてくる。よく見ればそれはAVのパッケージ。
「捨てる」
「···はい」
「これも、これも。」
「わかったわかった!もう見ないです!」
布団にくるまってシッシッて燈人を払うと向こうに戻ってまたガサゴソ音が鳴り出した。
俺はだんだんと眠たくなってきたから目を閉じる。
まだ甘い痺れが残る腰、軽く摩ればビリビリと電気に似たようなのが背中を走った。
仰向けになってふぅ、と長く息を吐く。
そうしていると知らない間に俺は眠っていた。
「───···る、真守」
「んっ」
「起きろ。片付け終わった、あとはこの部屋な」
「んー···」
燈人に手を伸ばすとその手を掴んでゆっくり起こしてくれる。最後にギューって抱きとめてくれて燈人の肩に顎を乗せてまた目を瞑った。
「寝てないだろうな」
「うん」
「ソファーに移るぞ、ここも片付けるから」
そのまま抱き上げられて運ばれる。ソファーに降ろされてすぐに俺から離れようとするから燈人の首に腕を巻きつけて離れられないようにした。
「おい」
「もうちょっと、甘えたい」
「···5分だけな」
俺をまた軽く持ち上げ燈人がソファーに座って、燈人の膝の上に俺が座る。燈人の肩に頬っぺたをくっつけて腰のところを支えてくれてるのをいい事に力を抜いた。
「俺、明日から仕事行くね。」
「行けるのか?そんなに急がなくても···」
「ううん、行くの。早く行くって決めないといつまでもズルズル行けなくなりそうで嫌だし。」
ふんふん頷いた燈人が無理だけはするなよって優しく笑う。うんって俺も笑い返したところで燈人が、「じゃあ向こう片付けてくるから」って俺をソファーに下ろす。
「待ってる」
「はいはい」
俺はソファーで寝転んで、燈人が戻ってくるのを待った。
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