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第106話
そんなこんなで俺の家も片付いて、近いうちに解約される事になった。もう少ししたら燈人が桜樹組の組員さんと一緒に荷物運びを手伝ってくれるって。すごくありがたい。
「じゃ、行ってくるね」
「おう。気をつけてな」
翌日俺は久々に仕事のために組に向かう。変に緊張するけど嫌だとは思わなくて、普通に歩いて組まで来れた。門を潜り中に入って一度深呼吸してから幹部室まで向かう。
「赤石じゃねえか」
「あ、早河」
その途中でばったり早河に会ってホッと息を吐いた。幹部のメンバーの誰かが一緒にいてくれると落ち着く。
「もういいのか」
「うん、甘えてられないしね」
「無理はするなよ」
背中を軽く叩かれて、やってきた幹部室に入る。そこにはすでに全員が居て俺を見るなり「おはよう」とか「もう元気になったのか」とか、変わりなく声をかけてくれた。
「うん、大丈夫。ありがとう」
「赤石、お前鳥居に俺たちとは別で礼言ったか?」
「え?」
鳥居に礼···?
何でだっけ?って考えるけれど思い浮かばなくて首を傾げた。
「お前をあいつが街で見かけなかったら、俺たちはお前の事を止められなかったから」
「···俺を見かけたって?」
「ああ。赤石がなんかフラフラ歩いてて、危ない感じだったって俺に連絡が来て···」
みっちゃんがだから鳥居がいなかったら、もしかしたらお前はここにいないかもしれなかった。と続ける。
そうだったんだ。それを知って、すぐに幹部室を出てまだ寝てるであろう鳥居の部屋に向かう。
静かにドアを開けるとやっぱり鳥居は寝てて、こいつ寝起きはすごく悪いから正直起こしたりするのは嫌なんだけど···
「おい鳥居!」
ゲシゲシ鳥居を足で蹴る。ゆっくり目を開けた鳥居は俺を見てギロリと睨んだ。
「···チッ、俺は寝てんだよ。起こすんじゃねえクソが」
「お前本当性格変わりすぎ。」
「あ···?···赤石さんじゃないですかぁ···何ですか、もういいんですか」
ヘラヘラと変に笑いながら起き上がった鳥居。寝癖が凄い、ガシガシとそれを直すように撫でた。
「ありがとう」
「えー···?何でー···?」
「お前のおかげで、ここにいれてるから」
「···ん、ふふふ、そうです、もっと感謝してくれて構わないです···」
ヘラヘラ笑ってからまた寝転んで眠りだした鳥居。起きなくていいんだろうか?と思いながら鳥居の部屋を出て幹部室に戻った。
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