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第108話
「終わったぁ···」
久しぶりの仕事ってしんどい。渡された分を終わらせた頃には眠たくて眠たくて仕方がなかった。
「今日はそれだけだから、もう帰っていいぞ」
「···みんなは?」
「俺たちは俺たちのやることをまだ終わらせてねえからな」
「···ふぅん」
気を、使ってるのかな。
なんだか申し訳ない気持ちになって俯いてると八田が隣に来てポンと頭を軽く叩く。
「あの精神状態だったんだ。あそこからこうやってまた仕事ができるようになるのにはすげぇ辛い思いをしただろ。今だって久しぶりの仕事だ、体はお前が思ってる以上に疲れてる。帰ってしっかり休め」
「···八田」
「ん?」
「前から知ってたけど、八田って本当に優しいよね、惚れちゃうよ俺」
「···そんなこと言ってると桜樹の若頭さんに怒られるぞ」
「んー、それもそうだね」
ふふっと笑って立ち上がる。じゃ、遠慮なく。お先にって幹部室を出てサササっと組を出る。
早く帰って燈人にたくさん甘えたい。
「急がなきゃ」
いつもより少し早めのスピードで家まで歩いた。
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