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第109話
「たーだいまー···ぁ、あ?」
家について玄関でただいまと声を上げるけど···玄関に燈人の物でも俺の物でもない靴があっては?となった。
誰か来てるのかな?この前みたいに羽島くん?
廊下をスタスタ歩いてリビングに出ると燈人が変わった様子なく「おかえり」と言ってくれた。
「ね、あの靴誰の?」
「ああ、あれは──···」
「おい燈人!ティッシュ!!」
デカイ声を出してキッチンから出てきた男。そいつの手からは血が出てて料理でもしてたのだろう、包丁で指を切ったようだ。
「お前なぁ、鈍くさいんだから手元から目離すなっていつも言ってるだろ」
「···ごめんなさーい」
すごい親しい仲みたい、燈人がティッシュで指を押さえて血を止めようとしてる。絆創膏···って部屋を探ってそれを取り出しその男に渡した。
「わ、ありがとー。···君が燈人の恋人?」
「そうだよ、指大丈夫?」
「うん、大丈夫。浅羽組の幹部なんだってね」
そこまで教えてるんだ。どういう関係?って疑うように燈人を睨む。
「···何だよ」
「何でもないよ」
「何でも言えって言っただろ」
「何でもないから言わないよ」
ふん、と顔を逸らして着替えようと一応俺の部屋って与えられた部屋に入って服を脱ぐ。
これって嫉妬なのかな。燈人のことをもしかしたら俺以上に知ってるやつと家であったから···嫉妬、してるのかな。
「ダッサ」
そりゃ俺より燈人のことを知ってる人なんてたくさんいるのに。
服を着替えて床にドサリ座った。無意味に携帯を弄る。
せっかく早く帰ってきて、調子も良かったのに···なんか、嫌になっちゃった。
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