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第126話
「おはよ」
「···はよ」
あれから俺たちの間では気まずい空気が流れていた。
そ結局、俺が笑ってそう言ったあの日、燈人は部屋を出て行ってそのまま、部屋に帰ってくることがなかった。
次の日、クァァっと欠伸をしながら燈人の部屋を出て顔を洗いに洗面所に行く。パシャパシャ水で洗って顔を上げると鏡越しにお兄さん達がニヤニヤと笑って立っていた。
すっごいびっくりしたんですけど。
肩をがしり掴まれて痛みが走る。それを顔には出さないでお兄さん達の方見ればそのまま、ずるずるとお決まりの場所に連れて行かれて殴られる。仕返しに早く殴ってやりたい。けどそれじゃあダメだ。
「おい、テメェその目は何だよ」
いつの間にか睨みつけてしまってたみたいだ。けれどそれを指摘されたからといって止めはしないけれど。
「無視してんじゃねえぞ」
「っ、」
転がってると左手を思い切り踏まれて痛さに俯いて唇を噛んだ。変な音がなった、これはやばいやつかもしれない。ギリギリ手を踏まれる力が強くなっていくにつれて唇を噛む強さも増していく。
ポタ、ポタと血が垂れる。地面にそれが落ちた時に手は解放された。
「おい、これ折れたんじゃねえか?」
「やり過ぎだろ、こいつ若の知り合いだぞ。チクられたら終いだ」
そう言って2人のお兄さんがよく俺を殴るお兄さんを止めてくれる。けれどそのお兄さんは全くもってそんなことを気にしてないみたい。
何でこいつは燈人に怯えないのだろう。
おかしい、ここの組の奴らは燈人の名前が出てくると大概が大人しくなるのに。
「知らねえよ、そんなこと」
もしかしたらこいつは、桜樹組の情報を盗もうとスパイとして入り込んできている···?
敵対しているどこかの組なんじゃ···
「なあおい、あんたさ」
ずっと静かにしてたからか俺が話し出すとお兄さん達はみんな俺の方を見た。
「俺は燈人の親友だよ?その俺にこんなことして燈人が許してくれると思ってるの?」
わざと煽るような言葉を吐いた。
左手が痛い。
これはきっと骨がやられてる。
チラリと横目で左手を見れば赤紫色に腫れていた。
「ああ、俺と若はお前より長い間一緒にいるんだからな」
「あっそ」
俺の態度にイラついたらしい、それはそのお兄さんだけじゃなくてあとの二人も。
会話がやんで途端にまた拳を振るってくるこいつらに後で覚えておけ。と小さく呟いた。
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