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第128話
「赤石、起きなさい」
「ん···」
トラに揺すられて目を覚ますとニコニコ笑って俺の頬を突いてきた。
「アラームの音量、あんなに大きいのに何で起きないの?寝不足?」
「ううん、いつもちゃんと寝てるよ」
「そう、ならいいけどね。手は痛む?」
「んー、固定してるし大丈夫。ありがとね」
髪をガシガシとかいて伸びをする。手じゃなくて他のところが痛むけれど我慢できない痛みじゃないしどうでもいい。
ていうかこんな怪我より燈人と気まずいって方が嫌だなぁ。
「トラ、俺、間違ってるのかな」
「はぁ?あんたが間違ってないって思うなら間違ってないわよ」
「···そっか」
じゃあ間違ってないな。
ふっと笑って立ち上がり「帰るね」と建物を出て桜樹組まで向かう。
手がこんな状態だから誤魔化しは効かないなぁ。
それでも話すつもりはないけど。
それよりあのお兄さんのことを調べないといけない。そう思い足を止めてみっちゃんに連絡を入れた。
「何だ」
「みっちゃーん!今ね!俺、すごく困ってる!」
「そうか、じゃあな」
「違う!違う違う!ねえお願い俺の話聞いて!」
何だよ···って面倒そうに言ったみっちゃん。
少し声を低く、小さくした。
「あとで写真送るから、そいつのこと調べて欲しいんだ」
「自分でやれよ」
「うーん、そうなんだけど、今は調べられる環境じゃないっていうか···」
「···わかった、早く送ってこいよ」
「うん、ありがと」
そんな会話をして歩いているともう桜樹組の門が見える。
「無理すんなよ」
「みっちゃんもね、ありがとう。じゃあね」
電話を切り左手を少し隠して門を潜る。燈人の部屋に行ってすぐに手のことがバレても面倒だし、いつも俺が殴られるあの場所に行こう。あそこは人目につかないからいい隠れ場所だ。
「···いや、写真撮りに行かなきゃ」
もう嫌だなぁ。とてつもなく面倒だ。
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