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第133話
時間は経って2日後の昼。
まだ燈人達にバレてないと思い込んでる石川さんは俺を組の裏に連れてきて今度は罵声を浴びせ始める。
そんなことで今更傷付かないからサラサラーっと受け流してるとそれに腹が立ったのか胸倉を掴まれた。
「聞いてんのかよ」
「聞いてないよ」
口だけニコッと笑うと左の頬を思い切り殴られる。
左ばっかり痛いな!と思いながら頬を触る。か弱い女の子が頬を叩かれた時とかにするようなポーズ。俺がこれをやって目に涙をためて上目遣いにしたら可愛く見えるかな?今度燈人にやってみよう。
「痛い」
「そりゃあ殴ったからな」
「何でこんなことするのさ。そんなに燈人と仲のいい俺が気に食わない?」
「ああ、そうだな。腹が立つ」
怪我してるところを中心に痛め付けようとする石川さん。
さて、どうするか。と悩んでいた時に携帯が大音量で着信を伝えてくる。
石川さんに構わず電話に出たらみっちゃんからでふふっと口元が緩んだ。
「おはよう」
「うん、おはよ。どうしたの?」
「さっきお前の彼氏から電話があってな」
「え、うん。何の話したの?」
「いや、協力してくれてありがとうって礼を言われた」
突然電話をし出した俺に石川さんは呆気にとられたようにみてたけど、何の許可なく話をしていた途中で電話をするのは非常識だとは思う。でも今は俺がこれをしている立場だから、気にしないでおこう。
「ふーん、ところで俺の仕事は誰かしてくれてるの?それとも放置?大分貯まってる?」
「俺も八田もちょっとは手伝ってるけど···お前の仕事ってほとんどお前が蒔いた種だろ。自分で始末しろ」
「うっわ!!そんなこと言うんだ!!···まあ間違ってないけど」
そんな会話をしてると石川さんはハッとしたようでいきなり拳を顔面に突き出してくる。咄嗟にそれを避けると風を切る音でみっちゃんが察して「え、何、今誰かと殴り合いでもやってんの?」と不思議そうな声で言った。
「そう。困ったよ」
「早く終わらせろよ。お前一応幹部なんだから」
「嫌だよ、怠いし」
「殴られる方がだろ。」
ククッと笑い声が聞こえた同じタイミングでまた拳が飛んでくる。何回も同じ攻撃、ワンパターン。面白くない。
「もー、しつこいなぁ!」
「あぁっ!?」
かかってきた石川さんに蹴りを入れた。
がふ、だかなんだかわかんねえけどそんな声を漏らして崩れた石川さんは「っ、くっそ···」と顔を歪ませて俺を見る。
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