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第137話
目を覚ますと燈人のベッドの上にいた。
何故だか視界にみっちゃんの姿が入ってきて慌てて体を起こすと首の後ろが痛い。
「起きたか」
「あー···、何でみっちゃんいるの?」
「お前がまた暴れたって聞いてな」
「···ごめんなさい」
みっちゃんに謝っていると部屋のドアが開いて燈人が入ってきた。俺を見た燈人は申し訳なさそうな顔をしてる。
「大丈夫か?」
「大丈夫、ごめんね」
ベッドから降りて燈人にそう言うと「いや···」と言いながら床に座った。
「赤石は昔からストレスがたまってたり、不安な事があるとこうなることが多い」
「ご、めん」
「謝れなんて言ってねえよ。ただそうなった原因があるだろ。それを早く解決しねえとまた繰り返すぞ」
「············」
「黒沼、もういい。俺が頑張らせすぎた」
燈人がみっちゃんの肩に手を置いてそう言った。けれどその言葉にみっちゃんは眉を寄せた。
「頑張らせすぎたって、それを何でこうなる前に気付かなかったんですか。」
「···悪かった」
頭まで下げてそう言った燈人に俺もみっちゃんも何も言えなくなった。みっちゃんは小さく息を吐いて俺の髪をワシャワシャと撫でる。
「何かあったらいつでも、誰でもいいから言えよ」
「うん、ありがとう」
「ああ、じゃあ俺は帰ります。」
みっちゃんが面倒なくせに他の組にやってきたのは俺が心配をかけてしまったから。それに申し訳なく思ってると「何にも気にしなくていい」と最後に言って桜樹組を出て行った。
「石川さん、どうなったの」
「気にしなくていい」
「教えてよ。反省はするけど自分のこと責めたりしないし。」
「···病院に行ってる。さすがにひどかったからな」
そう。と呟いて思い出したのは燈人を殴ってしまったこと。慌てて燈人に駆け寄り殴ったであろう頬に触れるとジンワリ目が熱くなって視界がユラユラと揺れた。
「ごめんね」
「いいから、泣くな」
「泣いてないし」
涙が目に溜まっていく。頬に触れてる俺の手を触った燈人はそのままちゅ、っとその手にキスをした。
「大丈夫、それより俺はお前のことが心配だ。」
そう言われて俺は笑う。どうともないよと伝えたいのに口から漏れたのは弱音。
「俺、いつも、こんなことになるんだ···すごく、嫌だ」
「ああ」
「止めないとって、わかってるのに···止まらない」
「·············」
「あんなに、傷つけるつもりは、なかった。ましてや燈人を殴るなんてさ。」
「真守···」
「傷つけることしかできない力なんて、いらなかった」
そう言うと肩を持たれて燈人の怖い目に射抜かれた。
何で怒ってるのか、何でそんなに悔しそうなのか。わからないままボーッと燈人を見る。
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