141 / 242

第141話

そろそろ帰るって皆がぞろぞろ出て行ったのについで、俺も幹部室を出て嫌々ながら燈人の部屋に行った。 「·············」 「おう、帰ってきたか。早速で悪いが怒ってるわけを教えてくれ」 「···怒ってないの」 「怒ってねえ、けどさすがに嫌いって言われるのは辛い」 トントン、と自分の隣を叩いた燈人。 そこに座ると教えてくれ。と真剣な目で見られて思わず目を逸らした。 「真守」 「わかってるって。話すからさ···」 今言葉を考えてるの。と考えて考えて···結局は自分の踏み込んでもいいところなのか。とか親父さんや燈人は正しいことを言ったんじゃないのか。とか。そう思うと口に出せなくて黙るしかなかった。 「言えねえことか?」 「···うん」 「でも俺に怒ってんだろ?」 「···もう怒ってない。さっきはごめん。」 わからないけど。そう思ってないとまた燈人に当たってしまいそうだ。 モヤモヤとした気持ちが胸の中に広がり始めた時。 「───若!石川が目ぇ覚ましました!」 組員の大きな声が聞こえた。

ともだちにシェアしよう!