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第141話
そろそろ帰るって皆がぞろぞろ出て行ったのについで、俺も幹部室を出て嫌々ながら燈人の部屋に行った。
「·············」
「おう、帰ってきたか。早速で悪いが怒ってるわけを教えてくれ」
「···怒ってないの」
「怒ってねえ、けどさすがに嫌いって言われるのは辛い」
トントン、と自分の隣を叩いた燈人。
そこに座ると教えてくれ。と真剣な目で見られて思わず目を逸らした。
「真守」
「わかってるって。話すからさ···」
今言葉を考えてるの。と考えて考えて···結局は自分の踏み込んでもいいところなのか。とか親父さんや燈人は正しいことを言ったんじゃないのか。とか。そう思うと口に出せなくて黙るしかなかった。
「言えねえことか?」
「···うん」
「でも俺に怒ってんだろ?」
「···もう怒ってない。さっきはごめん。」
わからないけど。そう思ってないとまた燈人に当たってしまいそうだ。
モヤモヤとした気持ちが胸の中に広がり始めた時。
「───若!石川が目ぇ覚ましました!」
組員の大きな声が聞こえた。
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