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第142話
石川さんが起きたって知らせが入ると燈人はすぐに部屋を出て行った。静かな部屋で一人取り残されて何もない世界が広がる。
暇だから床に寝転んで携帯を見て、さっき別れたばっかりの佐助に暇ってメッセージを送ってみた。
すぐに返信が来て、それには写真が添付されていた。何だろ?って写真を開けてみると小さい猫がふわふわなベッドに丸まって眠ってる姿が写っていて「可愛い···」と思わず呟いた。
というか何で猫?何で写真?
文字は何も書かれてなくてクスクスと笑った。
佐助はすごく面白い。隣にいるのにもかかわらず電話をかけてくるし、暇だとメッセージを送れば写真だけ返ってくるし。
「不思議なやつだなぁ」
可愛いね、佐助が飼ってるの?とまたメッセージを送るとすぐに返信が来る。
俺の飼ってる猫、抹茶っていうの
その文と一緒にきた写真。
そこには水を飲んでる抹茶の姿が写ってた。
自然と口角があがる。
抹茶の色でもないのに、何で抹茶って名前なんだろう。
ていうか佐助、猫飼ってたんだ。
猫っぽいって言ったら嬉しくないとか言ってたけど。
「俺も、ずっと一緒にいてくれるやつが一人でも欲しいなぁ」
呟いても誰も聞いていないから返事はこない。
小さい箱での手紙のやりとり、今は寂しさからそれに逃げた。
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