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第146話

ゆさゆさと体を揺すられてる感覚で目が覚めた。視界に映るのは若。慌てて起き上がり「お疲れ様です」と頭をさげると「いいから」とベッドの縁に腰掛ける。 「あのさー、今暇じゃねえ?」 「暇です」 「ちょっとついてきてくんねえかな。昔から交流がある若頭だけが集まるんだけどよ···あ、桜樹はいねえよ。」 燈人がいないと知って勿論!と頷くと笑った若。でもその後に「何かあったのか?」と心配をしてくれる。 「苦しくなる前に言えよ」 「はい」 その優しさが嬉しくて笑うと若は一度頷き「じゃあ行くかー!」と部屋を出て行く。俺は急いで組に置いてあったちゃんとした服に着替え門の前に車を回す。 「じゃ、行ってくんなー」 若が車に乗ると見送りに来た組員達にそう言った。 それを合図にゆっくりと車を発進させた。 「お疲れ様です」 若が姿を現すと既に集まっていた若頭達は一斉に頭を下げた。そしたら若は「いいっていいって!」と手を振ると全員顔からへにゃへにゃと力を抜いて「ハルー!久しぶりだなー!」と若に近寄って笑う。 俺はここには入っちゃいけないから若が見える、近くも遠くもないところでジッとしてた。 「赤石!」 「はい」 若に呼ばれて行くと座れ、と言われて若の一歩後ろに座った。 「お前桜樹の若頭とダチだもんな?」 「え、はい」 「な、言ったろ?」 燈人と友達かと聞かれ答えると若の周りにいた若頭達が「おおお···」と小さく声を上げた。何でだろ。と不思議に思ってると自分がそんな顔をしていたみたいだ。若がクスリと笑う。 「あー、こいつらさ、桜樹の若頭に近づき辛いんだと」 「え、何でですか···?」 首をかしげるとそれぞれが話し出す。 「何か、俺たちみたいな奴が言うのは変かもしれねえけど···あいつすげえ凛としてるだろ。いつでも背筋伸ばして抜け目がないっていうか…」 「完璧主義?」 「あー、それわかる!」 だから俺が燈人と友達だと知って驚かれたのか。 立場も違うのにどうして?って意味も含まれてると思うけれど。

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