147 / 242

第147話

「えっと···とーり···あ、桜樹の若は近づき難いのはあるかもしれませんし、性格も···まあ、始めは難しいかもしれないけど話してみると普通の人ですよ。いつも凛としてるのはそうしてないといつ自分の弱みを見せてしまうかわからないから、とか···大人に見せないといけないだとか···気を張ってるだけだと思います」 俺がそう言うとうんうん、と頷いた若が俺の肩を軽く叩く。 「そういえば俺、お前と桜樹の若頭の出会いを知らねえ」 「···それは後で」 苦笑を零すと「そうだな」と若も苦く笑った。 若達はどうやらこれから真剣な話があるらしい。 用意された部屋の前で待機することにしてボーッとしていると携帯の電源を切ったままにしていたことを思い出して慌ててつける。若から連絡が入ってて気付かなかったらやばいもんね。 「うげ···」 電源をつけると燈人から1件ずつ電話とメッセージが入っててそれを確認すると何処にいるんだってやつだった。 無視して携帯をポッケに直しふぅ、と息を吐く。 つまらない意地を、俺が勝手に張ってるだけだってわかってるけど、それでも燈人が許せなかった。 俺が桜樹組に関係がないと、ハッキリ言われたのと同然だったから。 「···本当、嫌いだ」 そう言うところ、大嫌い。

ともだちにシェアしよう!