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第152話
若と親父さんが話を終えて部屋から出てくる。
どう動いたらいいのかを全部説明されて燈人がいるであろうところに組員を連れて向かった。
「いいか、誰一人殺すなよ」
若が俺の目を見て真剣に言う。
はい、と言うとまだしばらく目を合わせてからこくり、と頷いた。
敵の拠点にやってくるとぞろぞろと中から人が出てくる。
そいつらは全員がたくさん武器を持っているけれど、こっちは少しの人間が隠し持てるような武器を持っているだけだ。
若とと親父さんはチャカを持ってるけれどそれはいざという時にしか使わないだろう。
「お前は燈人を探しに行ってくれ」ここに来るまでに親父さんに言われた。もちろんそのつもりだったから組員達が敵の拠点に乗り込んで行って、俺はこっそりと裏からそこに入りいろんなところを探して回る。
早く見つけないと。敵が焦って燈人を殺したりしたら···そう思うと怖くてたまらない。右も左も分からないまま走り続けて、早く早く!と思うのに敵に見つかって戦うことになる。
「どけっ!!」
かかってきたやつを拳を力一杯に突き出して1発で気絶させた。
そこから少し行くととある小さな建物の前にやたらと敵が集中してた。どうやら此処に燈人はいるようだ。真正面からぶつかっていくのは馬鹿だけどそうしないとここは突破できない。なんせその敵が集中しているところが建物の入り口だから。
気合を入れて全力で走る。敵をなぎ倒してどこからともなく飛んでくる拳や蹴りが何度も体に入る。それでも足を動かして動かして。
けれど体力は消耗していく。片膝が地面についてしまった。途端何人ものやつらに蹴られ地面に倒れてしまう。頭だけは守らないと、と腕を動かす。まだ治りきっていない左手が痛んだ。
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